2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

対訳『椿葉記』29

御位の望にて御謀反の企ある由、世中さはぎ申程に、七月十二日夜中ばかりに、世尊寺宮内卿行豊朝臣伏見殿へ馳参、三宝院准后の御使にて室町殿より申さるゝ趣は、宮御方明日京へなし申されよ、まづ東山若王子へ入申されて警固申さるべきなり〈赤松左京大夫入…

対訳『椿葉記』28

さて四月に年号かはりて正長元年と申。延喜こそ久しき年号にてあるに、それにこえて卅四年は我朝にためしなし。誠にながかるべき年号にてありけり。さて此五月の比より御悩はなをおもらせましまして、儲君の御事、世にはさまざま申程に七月のはじめ嵯峨にま…

対訳『椿葉記』27

その比赤松左京大夫入道没落して天下もしづかならず。御悩も一方ならず。世中はうかうかとし年も暮ぬ。あくる年正月十八日内府薨給ぬ〈勝定院と称号申〉。思ひよらずいとあさまし。いまは御子もなければ、御相続の事如何とさたあり。管領、畠山、諸大名評定…