教育論

笑った

まずはイザ!のこの記事(「http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/275246/」)。 大手学習塾の栄光ゼミナール(本部・東京都渋谷区)の小学5年生の社会科教材で、昭和12年の南京事件を「市民十数万人を虐殺(南京大虐殺)」と記述す…

論文の書き方

最低限章節立てをしない論文は普通の大学ならばアウトであることを言っておかないと、章節立てをしない論文でもいいや、と思って出す学生が続出すると困るので一言。書式の引用もきちんとしないと論文としての態をなさないので注意。 ちなみに学期末とかに提…

異分野の学部で一般教養を担当する

昨日id:Sokalian氏のブログのコメント欄でSokalian氏と対話していて思いついたこと。氏はfuku33氏の講義には問題はなかった、と考え、私はfuku33氏の自己批判に言及したのだが、Sokalian氏と対話して氏から触発されることがあった。 福祉系の学生に福祉の考…

レポート

だめなレポートの代表例は参考文献が記載されていないもの。基本的には論外としかいいようがない。 最近目につくのが参考文献と称してウィキペディアを記載するもの。まあ論外だろう。実際にウィキを参照することはあっても、印刷物にあたって裏取りをする必…

ウィキペディア

日本史に関する講義をやっていたのだが、西洋史の学生が質問に来た。基本的な用語について知りたいから、参考になる本やサイトを聞いてきたので、とりあえずウィキペディアをみるように言っておいた。「大丈夫ですか?」とその学生。正しい。ウィキペディア…

ナベアツで小学校教員が悲鳴だとか。それは指導力の問題だ(笑)

日刊ゲンダイの記事。 3の倍数と3がつく数字の時だけアホに――。このネタで一躍ブレークしたお笑い芸人の“世界のナベアツ”。 ところが人気の急上昇と比例するように、教育現場から悲鳴が上がり始めている。 埼玉県の公立小学校で2年生のクラスを受け持つ女性…

「先生」の言葉

教師が不用意な言動で生徒の心を傷つける、ということが散見される。本人には悪意はなかったのだ。教師の言動でいじめが誘発されることすらある。教師は悪意はなかったとは言え、教師に責任はないとは言えない。教師は「先生」と呼ばれる。「先生」と呼ぶ側…

習熟度別クラスの資源配分

塾では習熟度クラスが原則である。ただそれを学校で導入するには抵抗も大きいだろう。しかし何よりも次の橋下知事の発言(「http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200802130080.html」)に注目する必要がある。 選挙中から「高校の学区撤廃」「学力別クラス…

橋下大阪府知事の勇気ある発言

断っておくが私は橋下氏の言動が大嫌いである。橋下氏を評価するのははっきり言って嫌である。だからこそ橋下氏の発言を基本的には批判しないようにしているし、橋下氏の発言で評価できると思われたものは積極的に取り上げる。 今回は橋下氏の教育に関する発…

NHKクローズアップ現代

あの番組でアンドレア・シュライヒャー氏(OECD教育局指標分析課長)のコメントが素晴らしかったような記憶があるのだが、何を話していたのかど忘れしてしまった。問題解決の能力が必要なこと、とか、科学的思考への関心が失われつつある、とか、そういう感…

著作権問題

某中学の2006年度の問題を受験指導で使おうとしたら、第2問が本文省略だった。別役実氏の評論文である。2006年度の問題ということは、2006年1月に出題された問題であり、この年、別役実氏は「日本ビジュアル著作権協会」の活動に賛同し、四谷…

むちゃくちゃな大学

来年のバイト先(以下バイト先1)のシフトが決まり始めている。大体10月ごろに内示があり、11月に正式にオファーがある。今週中に返事をする。基本的にはこちらの都合に合わせてカリキュラムを組むので、この後に変更が入ることはない。ところが困った…

学力調査

塾では成績の低いクラスにこそより多くの力を傾注する必要がある。成績のいいクラスは勝手にやる。成績の低いクラスは丁寧に見てやらないと絶対に勉強しない。 以前いた塾では成績の低いクラスに元教員のベテランを配置し、成績上位クラスには学生を配置して…

夏休みの宿題

私は夏休みの宿題踏み倒しの常習犯だった。だから子どもが宿題を踏み倒す手口は熟知している。子どもの宿題踏み倒しを絶対に許さない方法も知っている。要は教師の執念なのだ。宿題をさぼる癖が付いている子どもは目の前でやらせること。これに限る。目を離…

心のノート

河合隼雄氏が亡くなり、氏が携わった『心のノート』が少し話題にもなっているようだ。『心のノート』は文部科学省が著作責任者となっている冊子である。2002年7億8000万円を投じて作られ、全国の小学生・中学生に配布されたようだ。翌2003年に…

著作権

数年前の話。五月ごろに教材の差し替えという事態が起こったことがある。使っていた教材の題材に一部著作権をクリアしていないものがあったらしい。教材会社から連絡があり、新しい教材を送るので、今まで使っていた教材を破棄してくれ、というのだ。著作権…

小論文指導で言われたこと

私が小論文講座で言われた一番大事なことを忘れていた。それは「オレはちがわない」ということである。他人を批判したからといって、自己の正当性が確保されたとは言えない、ということと同じことであるが、あるいは他人を批判したくなった時に、その批判の…

「だまされていた私」という自分語り

さらにコメント欄に「や」氏が興味深いことを述べていた。 その講義に興味がなく、そして単位が欲しいと思っている学生の、レポートに対する戦略を考えると、・全くこれといって感じたことはないが、単位のことを考えるとその講義、テキストから自分は何かを…

大学関係者が好む小論文技術

私は大学教師と塾講師と、二足のわらじを履いている。どちらが本業か、と問われれば、昔は大学講師と胸を張って言えなかったが、今は塾講師と胸を張って言える、というか、大学教師は副業と化している。私の仕事先の塾はほとんど二足のわらじ組だが、どちら…

扇動されやすい人2

前回「だまされていたけど、真実を知った私」という扇動されやすい人の話をした。論理的な思考力を鍛える訓練をしたことがないのに、情報に触れた人が陥りがちな過ちであるが、これは何も今の学生に特有の現象ではない、と思う。 思えば私自身も学校では論理…

扇動されやすい人

現在鎌倉時代の講義*1をやっている。一昨年にもやったが、今年もやっている。なぜだかテスト一発勝負はダメ、という大学で、そのくせ数百人を一つの教室に詰め込むから、講師としてはどうやってテスト以外の評価をするべきなのか、よくわからない。そこで適…

漢字が書けない子ども

私は漢字が書けない生徒だった。アメリカに行っていた帰国子女という言い逃れをしていたが、実は言い逃れに過ぎない。渡米以前から苦手だった。いずれ日本に帰るつもりだったのだから、一応小学校の勉強は親に見てもらってはいたし、九九は一応できたので、…

大学の講義

今年は少人数の演習がなくなり、大規模講義ばかり。専門科目で200人弱。中には昨年演習を担当していた時の教え子の顔もちらちら。こういうのは素直に嬉しかったりする。もう3回生なんだから多分単位は関係ないはずだ。純粋に勉強したい、という気持ちを…

「わからない」補遺

先日の大学生の「わからない」問題だが、私のところに「なぜアイヌなのかわかりません」という質問を直接にぶつける学生もいる。こういうのは大変素晴らしい姿勢であることは言うまでもない。こちらもより丁寧に日本史におけるアイヌ史の位置づけを学説史に…

大学のレベル

昨日のエントリでおそらく多くの方が私の教えている大学が底辺校だと思っていらっしゃることと推察する。実際は一応関西の私立大学の雄と言われる大学である。このまえ後輩と話をする機会があったのだが、いわゆる判定不能大学になるともっとすさまじいらし…

アイヌ史

「日本史」という講義でアイヌ史をやると「わからない」という声があった。こういう声は初耳だ。今までならば「偏向している」という苦情になるはずだった。確かに「偏向している」だろう。アイヌモシリへの侵略の歴史をやっているわけだから。当然「みんな…

朝日新聞の2月1日付けの夕刊に広田照幸氏が書いていたこと。関西地区では当該欄には別の記事が載っていた。 記事はこちらを参照いただく「http://d.hatena.ne.jp/serohan/20070202#p1」として、概要を纏めると次のようになる。 現在教育改革が急がれている…

私が主人公だ補遺

ブクマされたおかげで色々なご意見を目にすることができたので、少し補足をば。 まず「要らんこと言わんでええ」について。生徒の蘊蓄を話させない、ということだが、これを放置すると起こり得る事態を一つ。生徒の蘊蓄は結構なことだ。これで活発な授業がで…

年頭の決意

安藤美姫選手が肩を痛めながら最後まで踊りきったのは、まさに戦後民主主義教育のたまものだ。 なんてアホなことを書くとその思考力が疑われるのだが、そういえば昔安藤美姫選手がトリノで「楽しめればいい」と発言したことを「戦後民主主義教育の弊害」と定…

塾禁止

教育再生会議の野依良治座長が塾禁止を持ち出している。公教育が放課後も縛ろうというのだ。まさに私生活まで政府が介入する。塾の現状が決して褒めたものではないのも百も承知だが、同時にバッシングの言説で表象されるほどひどい塾ばかりでもない。しかし…