素朴な疑問

安倍晋三総理大臣は衆議院教育基本法特別委員会で「戦後、とかく損得を基準にする風潮がはびこっている中で、すべての基本である教育の原則、理念を示す基本法を21世紀の日本にふさわしいものに変えていく必要がある。私が目指す美しい国造りにおいては、何と言っても教育がすべての基本」と述べたそうだ。私は教育基本法のどこに「損得を基準にする風潮」をはびこらせる中身があるのかわからない。損得を基準にしてきたのは憲法改正教育基本法を改正しようとしてきた自由民主党の政治家ではないのか。今の安倍総理が「損得を基準」としてきた政治家かどうかはさておき、少なくとも教育基本法の理念は「損得を基準にする風潮」をはびこらせるような態のものではないはずだ。むしろ教育基本法日本国憲法が骨抜きにされてきた結果が、今日の状況の由来ではないのか。そもそも教育基本法の理念や日本国憲法の理念が実現したと言えるのか。実現した上でだめなのか。それとも骨抜きになったからだめなのか。そこのところについては審議をいくら見てもよくわからないのだ。
戦後の理念が大きく変えられた。五十年後の歴史教科書には太字で書かれることになるだろう。よくも悪くも。