自民党敗北の原因に関する森田実氏の考察

自民党の下野の理由に関する森田実氏の見解(「http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05650.HTML」「http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05651.HTML」)。なかなか興味深いと思ったので。
森田氏は「自民党はどうなっているのか」ということで「自民党の中枢部で働いている党員」に取材をする。その党員の答え。

【森田】マスコミの世論調査をどうみていたのか。

【A】大多数の党員がそんなはずはないと思い込んでいた。なかには「マスコミはおかしい」「マスコミの世論調査はおわりだ」という人もいた。麻生総理が遊説に行くと多くの人が集まる。このため、総理周辺は国民は麻生総理を支持していると思い込んでいた。総理ご自身、そうだったのではないでしょうか。

これは既視感たっぷり。
さらに

【森田】選挙戦に入ってから、自民党民主党に対してネガティブキャンペーンを繰り返していたが、外から見ていると、自民党はここまで劣化したかと思いました。自民党内では、批判はなかったのですか。

【A】自民党候補や党員のなかに、民主党へのネガティブキャンペーンに疑問をもった人は、いたと思いますが、批判を口にできるような状況ではなかったと思います。そんなことを言っても、相手にされません。党内は、相手の悪口だけ言っていれば選挙に勝てるような気分でした。総選挙が終わったあとも、ネガティブキャンペーンが失敗したと思っている人は少ないのではないかと思います。候補者の多くは、日の丸の旗事件(鹿児島4区で、日の丸の旗二つをつなげて民主党のシンボルマークを作成したこと)と日教組攻撃ばかりやっていましたが、自民党右翼団体のようになってしまったと見られてしまいました。大失敗でした。もっともこれすらも、多くの党員は、失敗したとは思っていないと思います。

【森田】大幹部はどうですか。

【A】自民党政権がなぜ倒れたのか、どうして自民党が負けたのか、わかっていないのではないかと思います。マスコミが悪いとか、国民はマスコミに騙されたとか、まだそんなレベルで考えている人が多いと思います。小泉政権以来、国民に向かっては「自己責任」を説きながら、自分たちは責任を他に転嫁しようとしているのです。「自民党は劣化した」と言われますが、大幹部を含めて本当に劣化してしまっているのです。安倍さん以後、オールKY(空気が読めない)です。

に至っては今でもヤフーを見ればいくらでも事例は引っ張り出せる(著名な匿名掲示板に関しては私は「見に行かない、書き込まない、宣伝しない」という「3ない」の原則に立っている)。
党員氏は次のように自民党を総括する。

【A】私は、自民党の内部にいて、この党はもうダメではないかと思っています。本当に劣化してしまっているのです。第一に指導者らしい指導者がいません。いつまでも森さん(元首相)では自民党は立ち直らないと思います。しかし、いまの状況では、森体制がつづくのではないでしょうか。とにかく「人」がいません。いつまでも森さんと青木さん(参議院議員)がこの党の中心にいるようでは見込みはないと思います。悪いことに、自民党の将来を担う中堅幹部、若手政治家がほとんどいなくなってしまった。いつまでも、森さん、青木さん、町村さん、武部さん、中川(秀直)さんでは、国民の信頼を取り戻すことなどできません。私は、自民党が自己崩壊するのは時間の問題だと思っています。10月になれば、私もリストラされるでしょう。失業者です。これから職探しです。小泉構造改革についても、アメリカ共和党への追随についても、この党が反省することはないでしょう。国民から遊離して自滅したというのが、2009年8月30日の総選挙のすべてだったと、私は思っています。

それを受けて森田氏は自民党について懸念を表明する。

A氏の話のとおりだとすると、自民党の劣化は深刻である。自民党の実情を調べれば調べるほど、2009.8.30総選挙は、自民党の劣化、自己崩壊の結果だということが明らかになってくる。21世紀に入って、自民党は、森、小泉、安倍、福田の清和研体制でやってきた。そのあと清和研の支持を受けて麻生首相が登場した。この5年間で自民党をつぶしてしまった。この総括もやれないようでは、自民党の再生は不可能ではないかと思う。他だし、このまま自民党が自壊してしまうと、民主党一党体制になってしまう。民主党小沢一郎氏の政党になってしまっている。そうなると、日本は一人の独裁者に支配される国になってしまう。これでいいはずはない。何とかしなければならないと思う。

自民党が今後残れるか否かは、自民党が今回の選挙の敗因の一つであるイデオロギーへの傾斜を総括できるかどうかにかかっていると思われる。今回の選挙は民主党は国民政党(別名寄せ集め所帯)として幅広い国民の意識を代表する、という従来の自民党のあり方を踏襲していたのに対し、自民党イデオロギーを表面に出して、多くの「本来の保守」にドン引きされた、ということではないだろうか。特にネットの自民党支持の言説は破壊力満点で、カルト化していた、としか言いようがない。しかもそこで使われるスラングを元閣僚ともあろう大物がネット上で使用するに至っては、保守的な人々は引いてしまったのではないだろうか。
ところでこの記事はこちらのブログ(「ネトウヨは実在する@ニコニコから - 2ちゃんねるとネット右翼(ネトウヨ)ウォッチング&その分析」)経由なのだが、ここに貼られている画像、完全に私の肖像権を侵害しているぞ(笑)。もちろん自民党支持のカキコをしまくって、自民党の足を引っ張っているキモウヨね。こいつがもう少し年を食って白髪交じりになればよく似ている。というか私の若い頃の顔そのままだ(笑)。