トラックバックへの返事

id:HALTAN氏からトラックバックが来ていた。
私の蕪雑なブクマに対して「はは・・・idにid:Wallerstein とか付けるようなマジメな人には、自分のような輩はそりゃ嫌われるだろうねえ・・・。」ということで、「嫌われるだろうねえ」と思われるような蕪雑な言葉遣いになったことに対してはご海容を請うしかない。一応付言しておくと私はidHALTAN氏のことを嫌ってはいない。むしろ自分の思考のきっかけとなったことに感謝している。
せっかくidHALTAN氏が機会を設けてくださったので、私の疑問をもう少し詳細に展開しておくことにする。
私がブクマを付けたのは以下の記事に対して(「http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080806/p1」)

自分がサヨクを嫌いなのは、
(1)階級闘争史観で何でも説明できるのか?
(2)仮に(1)が正しいとして、その論理の貫徹が不徹底ではないか?→2008-07-06■[左の旦那様]今さらですが、、、NHKのワーキングプア・プロデューサーにゴマをする日本共産党への深い深い失望(id:HALTAN:20080706:p2)
主にこの2点です。難しいことは何もない。簡単でしょ? こんなことは普通に拙ブログをお読みになられていればお分かりになれるはずなのですが・・・。あと、自分を保守派やネット右翼だと思っている人もまだいるかもしれないけれども、自分は例えばそこまで言って委員会やTVタックルは大嫌いな番組でほとんど観たことはないし、むしろ実生活では「サヨク」扱いされることの方が多い人間だったんだけどね。左も右も嫌いだ、ってそんなに難しいスタンスかねえ?

というところに対し、私はブクマで「階級概念が根本的に分かっていないのに、それを根拠にして議論を進めるのはやばいのではないかな、という気がする。」と言及した。id:HALTAN氏は「はは・・・idにid:Wallerstein とか付けるようなマジメな人には、自分のような輩はそりゃ嫌われるだろうねえ・・・。」と言及。結論からいうと、嫌ってはいない。嫌うほど読んでいないので。ただサヨクが嫌いな理由としては変ではないかな、と思っただけ。「自分がサヨクを嫌いなのは偽善者だから」とか言われれば、確かに「難しいことは何もない。簡単でしょ?」と言われても納得する。
(1)の規定に従えばid:HALTAN氏の規定する「サヨク」とは「階級闘争史観で何でも説明できる」と考えている人ということになるが、そもそも「階級闘争史観で何でも説明できる」と考えているサヨクをほとんど見かけないのだが。
(2)に関して言えば「その論理の貫徹が不徹底ではないか」というのも不思議である。「階級闘争史観で何でも説明できるのか」という問いに対して「それだけでは不十分だ」と考えたので様々な立場からの意見を取り入れようとしたら「その論理の貫徹が不十分ではないか」と言われれば、共産党も困るのではないだろうか。
私がid:HALTAN氏に対して階級概念が根本的に分かっていない、と思ったのは、NHKのプロデューサーを「ブルジョワジー」と規定しているところ。給与所得者は高給であってもプロレタリアートだろう、と。会社役員は「ブルジョワジー」に分類されるらしいが、これすら実体には即していない。雇われ役員はどう考えても会社員の延長線上にある。厳密に考えれば管理職はブルジョワジーで、労働組合に属している者だけがプロレタリアートである、というのも考え得るし、少し前までの日本共産党はそう考えていたはずだ。私のような非正規雇用の人間もルンペンプロレタリアートとしてむしろプロレタリアートの職分を安い給料で侵食する「敵」と考えられていたように記憶している。日本共産党が最近注目を浴びているのは、それまで正規雇用労働組合を組織しているプロレタリアートしか相手にしてこなかった日本共産党が、ルンペンプロレタリアートに目配りをし始めた、というところが原因だろう、と思っているのだが。そして日本共産党が今までの階級闘争史観では説明できないと考えたからこそ、ワーキングプアの問題に取り組み始めたのだろうし、その過程でNHKの議論を肯定的に取り上げることも、階級闘争史観のアウフヘーベンという意味ではありかな、と思うのだ。しかしid:HALTAN氏はそれを否定する。がちがちの階級闘争史観では説明できないので嫌いなのだが、がちがちの階級闘争史観を修正するような軟弱なやつらも嫌い、というのでははっきり言えば、id:HALTAN氏はサヨクは何でも取り敢えず気に入らない、としか読めないのである。
最後に、別に私は返答を期待しないし、もちろん返答がなかったからと言って「逃げた」とも思わない。そもそも返答を求めているのではなく、id:HALTAN氏の議論を元に自分の考えを纏めているだけなので、むしろ階級概念について考えるきっかけを作ってくださったid:HALTAN氏には感謝するとともに、批判的に検討した結果、氏に与えてしまうであろう不快の念についてはご海容を請う次第である。
追記
HALTAN氏からのお返事だが、残念ながら何を言いたいのか、私の「あたまがわるい」せいで何も分からない。「ネットに書くことで疑問を提起し続けている」というが、何を疑問に思っているのか、がわからない。ワーキングプアの番組を作ってワーキングプアの置かれている現状に問題を提起することのどこが悪いのか、いくら氏の議論を読んでも分からない。
私は自分のできる範囲で問題を提起していくことが必要であり、その意味ではNHKがワーキングプアの番組を作り、日本共産党がそれに便乗することに何の疑問も持たなかった、確かに世耕弘成氏がNHKに批判を行なったことは仄聞した。確かに格差社会を是認する人からすれば、ワーキングプア問題を提起され、それが国民に広がって格差社会に対する批判的な意見が広がることには懸念を評するのは分かる。NHKの番組の影響力を減殺する言説として有効なのは「おまえが言うな」である。森永卓郎氏に対してその言説はしばしば発せられている。ン年収3000万円を超える森永氏が貧困層の代弁をするのはおかしい、という意見である。ワーキングプアを多く使っているNHKにはワーキングプア問題を提起する資格がない、ということは、すべてのマスコミにワーキングプア問題を提起する資格はない、つまりワーキングプア問題についての番組を作るのはおかしい、と言っているようにしか読めない。それであどうやってワーキングプアの問題を提起するのか。提起してはいけない、という人がNHKに批判的な言辞を使うのはよくわかる。HALTAN氏はワーキングプア問題を提起するな、といいたいのであれば、よくわかるのであれば、それでなければ何を言いたいのか、私には皆目分からない。
私がHALTAN氏の意見で分かったのは次のことだけだ。とりあえず「サヨクが嫌いだ」と。そしてそれ自体は全く批判されるべきことではないのは言うまでもない。