無知を思い込みでカバーする室町時代人
unko先生の下のコメントに触発されて室町時代人の用語の誤りを指摘するシリーズ。まだまだ続きます。
疋は貨幣単位。例えば鎌倉時代だと1疋が30文。干鮭のことを「カラサケ」などとは言わない。そもそも「干」に「から」などという読みはない。ここは「唐の酒」と読むのが自然。無知を自分の思い込みでカバーしても正しい答えは出ないぞ。
とりあえず現状は「疋は貨幣単位」ということで、貨幣単位以外に「疋」を使うと思うのは「無知を思い込みでカバー」の例である、というのがunko先生の主張であらせられるわけだ。そこで室町時代人の「無知」な例をもう一つ挙げておこう。ちなみにunko先生からは何の反応もないけど、見て下さっているのだろうか。unko大先生による室町時代人への「無知」の指摘は時代を超えて有効なはずだ。
本日は文安二年(1445)か文安三年に成立した室町時代中期の辞典である「壒嚢鈔(あいのうしょう)」。時代を超えて「疋」や「干鮭(カラサケ)」の過ちを厳しく指弾するunko大先生はもちろんこの辞典も批判し尽くしていらっしゃるはずだ。
馬ヲ一疋と云ハ爾リ、絹ヲ一ヒキト云ハ何ゾ。此詞背正、其義違本。先一疋(ヒツ)二匹(ヒツ)ト可云也。疋、匹ハ同、匹ヲ為正。
大変だ。作者の行誉もまた「無知を思い込みでカバー」している。大先生の出番だ。行誉を厳しく批判すべきだ。それとこういう無知を思い込みでカバーしている辞典を引用している『時代別国語大辞典ー室町時代編』も無知なのだ。いやぁ、勉強になるなぁ。
「疋」編はあと二回。鎌倉時代の辞典である「玉塵」と安土桃山時代の「天正年中御対面記」における「無知を思い込みでカバー」している事例をunko大先生の教えに導かれて批判を加え、「正しい答え」を出そうと思う。