塾講師と政治1

教科書検定が終わった。「つくる会」の教科書が話題になるだろう。私も歴史学研究者のはしくれとして何らかのコメントをしなければならない、という気もしないではないが、多分そんなこと誰も求めていないし、放置。大体検定制度がおかしいのだ。それだけ。教科書のレベルが低い、とか、事実誤認が多いとか、色々言われるが、確かに多いと思うが、確かに特定の教科書会社の教科書に誤認が集中している、とか、イデオロギー的なことを検定する前にそちらを直せよ、とか、本当に色々思うが、実は塾で使用するテキストと比べると大したことではない。受験産業のテキストは本当にひどい。レベルが違う。教科書のレベルがよくない、といっても楽天ゴールデンイーグルスだ。受験産業は弱小中学の野球部レベル。喩えればそんな感じ。だから塾講師としては気にもならない。
で、政治的問題だ。塾の講師は、教育するのが目的ではない。点数を上げるのが目的だ。そこを忘れてはならない。いくら素晴らしい教育をして、素晴らしい見解を披歴しても、受験の結果につながらなければ全く意味がない。その意味では、入試に出る政治的なことはとりあげるし、入試に出ない話は雑談レベルでしかしない。
で、私が心がけているのは、親の仕事をけなさないことだ。自衛隊。「憲法違反ではないのですか」と質問する生徒がいる。これ、まじで困る。もしかしたら、自衛官の子供がいるかも知れない。もし塾で自分の保護者の職業をけなされたら、どんな気分になるだろう。だから、私は自衛隊に関する私自身のエピソードをして話をごまかす。ちなみにこんな話だ。私は浪人時代、自衛隊からスカウトされたことがある。「君、いい体をしているね。自衛隊入隊を考えてみないかい?」といわれた。いや、どう見てもただのデブオタなんですけど・・・。どこに目をつけていらっしゃいますか?自衛隊の眼力は問題だ、と。で、様々な意見がある、とごまかす。実際は自衛官の子供はいなかったように思う。暴力団組長の息子はいたようだ。後に進学した私立中学で私の大学時代の後輩に鼓膜破られていたけど・・・。野球選手の子供はいる。コーチや解説者が多いが、一回だけ現役選手の息子を担当したことがある。お父さんそっくり。名前も名前だけに一発でわかった。ただ親の職業欄にはプロ野球選手であることを記載していなかったので、一応触れずには置いた。解説者の娘はそもそも名字もその人とは違うので、テレビに出てくるまで知らなかった。コーチの息子は堂々と書いていたし、私のディープな阪神ネタの解説者もやっていた。オレのネタを解説する前に成績あげろ。まじめな子だったけど。結局慶応うかりました。みんなびっくりしました。ただ、読書力があると思いましたね。
あと冷や汗かいたのは、関西電力の息子。原発問題で微妙なのだ。そいつは私を慕っていたので事無きを得たが、それいらい慎重にやるようになった。そいつだって、原発批判(入試に出るので・・・)はあまり気分よくないだろう。おくびにも出さず、慕ってくれたので感謝している。今では原発も長所と短所を「公正に」話している。いや、親の仕事も押さえないと、社会の授業は難しい。今は国語なんで無関係。のびのびやっている。