教育者とたばこ

私の勤務先の塾は禁煙ではない。正確に言うと禁煙ですらない。そもそもたばこを吸う人がいることは想定の範囲外だ。しかし教師にも喫煙者はいる。苦労しているようだ。ただし一言だけ言いたい。歩きたばこはやめなさい。万が一保護者に見られたらどうする。
私はたばこは吸わない。そもそも半径数十メートルの範囲で吸われたら、呼吸が苦しい。実はたばこの煙はそんなに嫌いではなかった。しかし大学生活二〇年が私を変えた。
私が大学に入学した頃、受動喫煙の害は言われていたはずだ。しかし大学生活では学年が下の人間に人権などない。で、私より上の世代は基本的に喫煙者ばっかりだ。彼等にリアルな人権意識などないから、非喫煙者の前でも何の遠慮もなしにたばこを吸う。当然だ。そもそも彼等にたばこが体に良くない、という知識はない。長い間、日本政府の天下り機関であった専売公社の利権を守るために喫煙の害を周知徹底させることはなかったからだ。本来は花田冨平氏のいうとおり、未成年への禁煙教育を徹底させるのが基本のはずだ。しかしなぜだか及び腰だ。その理由はさておき、私はこの二〇年間受動喫煙を続けてきた。中途半端な喫煙者よりもニコチンもタールも肺にため込んでいるはずだ。しかも卑怯な喫煙者の中には、フィルターを付けてニコチンをカットしている軟弱ものも居る。周囲の人間にはたっぷりニコチンを吸わせてテメエだけニコチンやタールから守ろうってか。そんな軟弱ものはたばこを吸うのを直ちに止めろ、といいたい。ニコチンやタールを肺にたっぷり吸い込んでこその喫煙ではないか。
さらに最近新手の敵が加わった。ホタル族だ。自分の家族はたばこの害から守って、こちらにニコチンとタールを送り込むのはやめてくれ。部屋にたばこの臭いが充満しているよ。理想を言えば締め切って自分の家で自家消費してくれ。それならば文句は言わない。
私の肺と気管支の現状は思わしくない。深呼吸ができなくなりつつある。夜は仰向けではもう寝られない。気管が慢性的に炎症を起こしていて、狭まっているのだ。まだ肺活量は年齢平均よりもあるので、当分安全だと思うが、年々下っているので、油断は出来ない。私は脂肪肝中性脂肪過多なので、心筋梗塞脳梗塞で死ぬか、と思っていたが、最近では呼吸不全で死にそうだ。
私はたばこを吸うなとは思わない。自己責任で吸えばいい。こちらにツケを回すな、といいたいが、言えない。私の周囲の研究者はまだ多数派が吸っているからだ。そして私の肺へのニコチンとタールの蓄積は今日も進行するのであった。
ちなみに私の指導教授は最近たばこをやめたらしい。理由が笑える。欧米諸国ではエリートはたばこを吸わない、とかぬかして、もとい、おっしゃってたばこをやめた。理由がいかにもで笑える。で、たばこを吸っている若い研究者を掴まえて禁煙を勧めている。オッサン、先生、テメエ、大学院の演習中たばこをすぱすぱ吸ってやがって、吸っていらっしゃっていたじゃねえかよ、じゃありませんか。
そんなこと言えた義理かよ。俺のニコチンの5%はテメエだ。ちなみに50%は元公安監視付きの教授です。体育会系だからよ、たばこにいやな顔一つ出来ねえんだよ。こちらは帰宅部だったから苦労するよ、全く。
ちなみに学年が上の研究者がたばこを吸わなければ、その人の前ではたばこを吸わないのが礼儀だ(歴史学界限定、他のところは知らない)。しかし最近の若い研究者はそんな礼儀などしらない。私のとなりでたばこを吸いやがる。逆に私は気を遣っていやな顔一つ出来ない。今夜も寝られそうにない・・・。苦しい・・・。

追記
ありゃ?おかしいな。ガッシュ様のおとなり日記は冨平様なのに、私のおとなり日記はちがう。何で?どして?