金本知憲の怒り

誰も書かないであろう金本知憲外野手の怒り。金本知憲外野手の公式ホームページに載せられた突然のマスコミ批判。
発端は金本外野手が秀太内野手のトレード志願に対し、「金本、激怒、秀太斬りとか、若手選手を批判してる記事」が出た、ということである。それに金本外野手が怒り、マスコミに対していっさい取材拒否をしたのだ。
経過だけ見ると、マスコミは金本外野手を悪く書いたのではない。むしろ金本外野手の「アニキ」ぶり、選手たちの精神的支柱になっているその頼りがいのある人柄が際立つ、むしろ「素晴らしい」エピソードだったはずだ。それに対し向けられた金本選手本人の不信感。マスコミはその真意をはかりかねて困っていた。
しかし私には何となくわかる。マスコミが作り出す金本選手への虚像にほかならぬ金本選手自体が辟易しているのだ。「アニキ」なる称号に関する金本選手のコメントが象徴している。「俺は弟やぞ」と。マスコミは頼りがいのあるアニキとして描き出している。しかし金本選手自体はそのような存在として「祭り上げられる」ことを拒否したいのだ。
マスコミのイメージ作りはしばしば実体を無視して作り出される。例えば年末の珍プレー番組。決まって「番長清原」のイメージが振りまかれるが、そこに郄橋由伸選手の姿はない。しかし画面を良く見れば、郄橋由伸選手が清原和博選手と親しいグループに居ることは明白なのだ。郄橋由伸選手はブラックホッシーの相手をしていた。かなりネタ好きの性格のようだ。だから清原選手のグループに入るのは自然なことなのだろう。しかしどう考えても「番長清原」の絡みに入るのは絵にならない。絵になるのは元木大介選手などである。
結局二ヶ月半で金本選手はマスコミの取材に応ずることにした。何があったのかはわからない。しかし私は金本選手が何を不快に感じたのかは何となくわかるつもりである。そのことをもう少し掘り下げて考えてみたい。