金本知憲の怒り2

昨日の問題を少し掘り下げたい。
まずは新聞記事の検討から。
サンスポ

何が、トレード志願じゃ!! 久しぶりに戻ってきた地元・広島で金本が吠えた。兄貴の逆鱗に触れたのは、契約更改交渉の席で評価の低さにトレード志願、監督批判までした秀太、「(球団に)聞きたいことがある」とルーキー・鳥谷の遊撃起用で割りを食ったとする藤本、一軍での出場機会に恵まれなかった沖原の3人。それが、かわいがってきた後輩だからこそ、独りよがりの言動が我慢ならなかった。「今は若いヤツがグダグダいっているけど、実績が違う。自分の場所を見つけることは大事だと思うけど、彼らにはそれ以前にプレーでものを言いなさい、と言いたい」自らの不遇を嘆く前に、先にやるべきことがある。それをお前らはやってきたのか。過程が見えないのが金本の中で納得できない部分だった。「ガムシャラに、泥んこになって練習したのか!。アピールしたのか!」。喝入れした3人には少なくこの1年間、金本から見ても訴えるものが乏しかった。悔しかったらもっとアピールしてみろ!! 言外にシッタ激励の気持ちを込めた。「個人として、プレーヤーとして言う前にもっと自分を磨くべきだと思う。文句を言わさんくらいにな。これは、批判じゃなくて激励なんだ」お祝いムードも吹っ飛ぶ熱弁。これも兄貴流の愛情の表れ。秀太、藤本、沖原がそれぞれ、どうとらえるが注目される。

この記事を見る限り、特に金本選手が激怒する必要はなさそうだ。
デイリー(訂正しました)

額の血管が、徐々に浮き上がってくる。愛弟子・新井の祝宴の喜びも吹き飛んだ。抑えようとしても、金本の怒りは込み上げてきて止まらない。目をかけてきた子分に、裏切られたような感覚。「若いやつらが、何か言うとるらしいな。秀太に沖原、それと藤本か」。そう切り出すと、まさにノンストップで愛ある苦言を始めた。「グラウンドで、プレーで物を言いなさい、ということ。秀太が2軍でおかしいと言うやつがおるか。チャンスがないと言うなら、使わすようにせなあかん。誰にも文句を言われんような結果を出してからやろ」質問すらもさえぎるように、口調は激しさを増していった。矛先は不満タラタラの選手に向けてのものだ。契約更改の席でトレード志願をした秀太や、鳥谷加入で出場機会が減った藤本、沖原の名前を挙げた。「ほんまに、かわいいと思ってきたからこそ」と、一度は冷静になろうと努めたが、怒りが収まることはなかった。悲しいことに、名前の挙がった3人は、金本を慕っている選手ばかり。だからこそ物申さずにはいられなかった。「あの3人が本当にやったか。がむしゃらに、石にかじりついて、泥んこになって練習したか。おれなんかチャンスもなかった」。広島時代を思い出せば、日が暮れるまでグラウンドに残った記憶がよみがえる。それぐらいの努力をして、勝ち取るからこそレギュラーに意義がある。

うーむ、きつい。
あとは見つからなかった。ただデイリーに怒り、サンスポに怒らなかったわけではない。金本選手の公式見解を見ておく。

5日の新聞に金本、激怒、秀太斬りとか、若手選手を批判してる記事がでてました。僕はただ激励したくて、発奮してほしくてトレード志願する前にもっとプレーを磨いてほしいと思いから言ったことですがああいう変な記事になってました。記者には何回も確認して、批判じゃないよ、激励、応援だから間違った書き方しないようにと繰り返したのにです。今までマスコミとの会話をかたくなに拒んできた伊良部や下柳の気持ちが良くわかります。今までも何回か言ったことと記事の内容が食い違ったことがあり腹を立てても多少は我慢してきましたが今回はあれだけ確認したのに内容が違ったから許せません。これからは記者の取材には答えるつもりはないので僕の記事やコメントが新聞に載ることは少なくなりますが、その分、グランドで自己アピールしたいと思います。

これだけでは何に金本選手が怒っているのかがわからないだろう。一応金本が激励している体裁にはなっているからだ。ニッカンにせよ、サンスポにせよ、金本選手が若手を批判しているとはなっておらず、激励しているようになっているから、これだけでは金本選手が怒っている理由が不明確なのである。
ここからは想像になるのだが、私は金本選手は全く怒ってもいなかったのではなかったかと想像するのだ。もっと極端なことを言うと、金本選手はそもそも説教するつもりすらなかったのではないだろうか。あくまでも広島東洋カープ新井貴浩選手の結婚披露宴での話である。説教する場ではないことは金本選手は当然弁えていただろうし、トラ番から聞かれれば話をせざるを得ないが、取り敢えずネタっぽくコメントしただけだったのではないかと想像するのだ。それが「金本激怒」とか「若手斬り」とか書かれたので、「変な記事」となったのではないか。我々から見て若手に直言するアニキ金本の姿は頼れる、まさにチームの精神的主柱と映るのだが、金本選手自身は自分をそのような高みに置くつもりは全くなかったのだ。若手に説教などしたくはなかったのだ、と想像するのである。多分金本選手は本質的にそういうキャラでありたくないのだろう。しかしファンもマスコミも、猛虎の4番たるもの、自分に厳しい理想的なリーダーとしたいのだ。その方が受けるからだ。それが金本選手の逆鱗に触れたのだろう、と思う。