キヤノン

今日の朝はばたばただった。講義が佳境に入った、といえば格好いいが、実際はあまり知らない分野に差しかかっているのだ。本来室町時代を専門にしている身には近代はつらい。石川啄木大逆事件の関わりなんぞ知らん。しかし金田一京助知里幸恵を考察する際に絶対に外せない問題なのだ。で、それを準備して時間ぎりぎりになってプリントアウトしようとしたらインクが切れたようだ。おかげで遅れかけた。あわてて大事な史料を忘れて気付いた時には電車の中。まあなくてもなんとかなる。実際大学に着いたら到底その史料を添付する余裕などなかった。
大事な時にインクが切れたのがキヤノンのプリンタ。だから別にキヤノンが悪いわけではない。私が悪い。そもそもキヤノンはEOS650を買って以来大ファンなのだ。
しかしそのキヤノンに物申したい。
希望の国」構想である。法人税を減額して消費税を増やせ、だ?史上最高益を挙げている銀行は会計上の処理で法人税を一銭も払っていないのに企業献金をしている。経団連の要請なのだという。今日本の財政が苦しいのは法人税が軒並み納税されていないからではないのか。不況で利益を上げていないから法人税を納めていない。それはまだわかる。しかし今は好景気ではないのか。しかしその実感がないのは、負担が高いからなのではないか。そういう時にさらなる負担を国民に要求し、法人税は減らせと言い、自分の影響力を強めるために法人税の納税よりも献金を優先させる。これが経団連の方針なのだろう。

参考:産経新聞
 三菱UFJは平成18年3月期に最高益を更新、6月には公的資金を完済しており、好業績と経営の正常化を受けて、日本経団連全国銀行協会を通じて献金再開を要請。同社では「政治基盤なくして自由経済はない」(畔柳信雄社長)などとして、前向きに検討していた。

 不良債権処理による税務上の累積損失を抱えて法人税を納付していないなど依然「半人前」との批判があり、社内外から異論も出ていたが、「政党政治には資金が必要。企業の社会的責任として協力すべきだ」(同社幹部)などとして、税制や規制改革などの経済活性化策立案に積極的にかかわってゆくためにも、再開に踏み切ることを決断したとみられる。

 献金は、傘下の三菱東京UFJ銀行を通じて、大半は自民党に対して行う意向。

 政治資金規正法では12月末が会計の区切りとなっているため、年内に実施できるかが焦点のひとつとなっていたが、間に合わせるもようだ。

 日本経団連では平成16年に会員企業に政治献金を促す取り組みを再開しているが、地銀も含め銀行業界は献金自粛を続けていた。最大手の三菱UFJが再開方針を固めたことで、みずほ、三井住友の両フィナンシャルグループなども献金再開に向けた検討を本格化するとみられる。

 ただ、昨年来の好業績で「もうけ過ぎ」批判が根強い中、政治献金を再開することは批判を呼びかねず、顧客、株主の理解を得られるか、課題が残っている。

そういう経団連が「愛国心に根ざす公徳心の涵養」とか言っているが、法人税をここまで負けてもらえれば私だってこんなすばらしい国は守ろうと思うだろう。しかし大企業から税金を取らずに、しかし献金は受け、そして消費税を増税する国に「愛国心」を持つ気にはならない。
御手洗ビジョンを挙げておく。

イノベーションの推進
法人税実効税率の10%引き下げ
11年度までに消費税率2%引き上げ
業績などに応じた人事・報酬制度の整備
愛国心に根ざす公徳心の涵養
政治寄付を拡大するための法改正
東アジア全域での経済連携協定促進
15年めどに道州制導入

「平等」から「公平」ということが言われているが、格差社会について「公正な競争の結果として経済的な格差が生じているとしても、そこで生まれた格差は問題というよりも経済活力の源であり、成果を挙げた者は、むしろ賞賛されるべきであります。そこで必要な手当ては、残念ながら競争に敗れた者に対して、再挑戦の機会が与えられるということであります。」と言っている御手洗氏にはおそらく「ワーキングプア」など無関係だろう。子どもには高い教育を受けることができるし、就職も財界の人間ならばやりやすい。「格差」は固定化される。ブルデューの「再生産」理論を持ち出さなくても十分分かるだろう。財界も政界も「再生産」の舞台そのものではないか。現在の財界や政界の中心人物の出自を見れば歴然である。
そういう人々によって「愛国心の涵養」が持ち出されていることにいかがわしさを感じてしまうのだ。