アメリカ体験

私がアメリカに滞在していた30年前には日本は高度経済成長を遂げ、すでにアメリカでもジャパニーズで通じていた。しかしもう少し上になると「チャイニーズ」だったらしい。40年ほど前にはマイノリティだったのだ。髪と瞳が黒い人は全て「チャイニーズ」、という随筆を灘中学の入試問題で見たことがあり、「そうなのか」と感心したものだ。あまり気持ちのいいものではないだろうな、と思う。
自分の文化に誇りを持っている人は、当然他の文化にも敬意を払うし、自分の文化を愛する人は、他の文化が踏みつけられた痛みにも敏感であると思うのだが、他の文化が踏みつけられた痛みに鈍感な人もいるもので、こういう人は一見自文化を愛しているような言辞を弄しながら実際には自文化を愛することができないのだろうと思う。