珍しいことではない

伊吹文明文部科学大臣大和民族がずっと日本の国を統治してきたのは歴史的に間違いのない事実。極めて同質的な国」(2007年)
麻生太郎総務大臣「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」「今は(世界各地で)人種、地域、宗教でいろんな争いが起きている。日本は一国家、一文明、一文化圏で、そういう国はあまりない」(2005年)
鈴木宗男衆議院議員「(日本は)一国家、一言語、一民族といっていい。北海道にはアイヌ民族がおりますが、今はまったく同化されておりますから。」(2001年)
平沼赳夫衆議院議員「小さな国土に、一億2600万人のレベルの高い単一民族できちんとしまっている国。日本が世界に冠たるもの」(2001年)
中川義男参議院議員「(日本は)小さな国土に、1億2千6百万人のレベルの高い単一民族でぴちっと詰まっている」(2001年)
山崎拓元副総裁「一民族、一国家、一言語の日本の国のあり方がこれほどの国力を作り上げた。日本人が日本人を思いやる気持ちが阪神大震災の救済にも現われている」(1995年)
中曽根康弘首相(当時)「日本はこれだけ高学歴社会になって、相当知的な社会になってきている。アメリカなんかより、はるかにそうだ。平均点からみたら。アメリカには黒人とか、プエルトリコとか、メキシカンとか、そういうのが相当おって、平均的に見たら非常にまだ低い。」「日本は単一民族だから手が届きやすいという意味だ。」「日本国籍を持つ方々で差別を受けている少数民族はいない。」「日本民族は、諸民族が混合一体化して形成された。アイヌ民族もその一つ。自分は群馬県出身だが、群馬はもともと毛の国といい、私も眉毛も髭も濃い。アイヌの血は相当入っている」(1986年)
木村治美氏(エッセイスト、共立女子大学名誉教授)「日本人が以心伝心のコミュニケーションが可能なのは、共有する文化の基盤が大きいからにちがいありません。いわゆる単一民族がせまい島国に何百年と住んできたので、わかりあえる部分がたくさんあるのです」(『こころの時代に』1986年)
この中で一番話題になったのは中曽根康弘元総理の発言で、これをきっかけに少数民族問題がクローズアップされた*1、という意味で反面教師として優秀だった。鈴木宗男氏の場合はアイヌ問題に比較的真剣に取り組んできた議員の発言ということで議論を呼んだ。何しろウタリ協会会長の解任騒動にまで発展したものだ。今回の伊吹大臣の発言は、まあ、何とも言いようがない。むしろそれに対する「擁護」の発言に寒心する。
麻生太郎氏の発言を追加。九州国立博物館でこの発言はまずいかな。自民党の研修とかであればまだしもTPOがねぇ。
追加
伊吹発言に対する鈴木宗男議員の反応。「いまだに民族と国民の違いが分かっていないんだね」「米国でもロシアでも少数民族の権利確立は認められており、世界標準。ところが日本政府はできていない。その結果、こんな発言が出てくる」
鈴木発言と他の人々との発言の差異がわかる。鈴木氏はアイヌの存在を認識した上での発言、他はアイヌのことはおそらく眼中にない。伊吹氏はその点用意周到なのか、運がいいのかわからないが、「民族」という言葉を避けていたので釈明の余地があったように思える。伊吹発言で本来問題にすべきは「人権メタボリック」の方だろう。

*1:むしろアメリカ社会に対する差別意識という点で問題になった。