F尺度

昨日やった分、どの設問にどのような回答をしたのか忘れたのでやり直した。
F尺度は: 1.84 です。あなたは『無気力人間』です。社会や政治、そして自分への無力感を持っていることが特徴です。 」という結論。私は無気力人間らしい。
細かい分析は次の通り。

因襲主義: 2.10 中産階級の諸価値に対する執着。
権威主義的従属:  1.89 内集団の理想化された道徳的諸権威に対する無批判な態度
権威主義的攻撃:  1.80 因襲的な諸価値を侵犯しようとする人々を探し出し、非難し、拒絶し、処罰しようとする傾向性
反内省性:  2.40 主情的で、想像力に富んだ、柔軟な考え方への敵対
迷信とステレオタイプ:  1.40 個人の運命について神秘的な規定要因を肯定しようとする信念。 固定したカテゴリーで考えようとする専有傾向。
権力と「剛直」:  1.50 支配者-服従者、強者-弱者、指導者-追随者、という思考枠組みへの先入観。権力をもった人物への一体化。 自我の因襲にとらわれた諸属性を過度に強調すること。 強さとタフネスについての誇張された主張。
破壊性とシニシズム:  2.40 人間的なものに対する一般化された敵意と誹謗。
投影性:  1.68 この世の中には野蛮で、危険なことがらが横行していると信じたがる傾向。 無意識の情緒的衝動の、外界への投射。
性:  1.68 性的「現象」についての誇張された関心

基本的な傾向は変わらない。私はどうも「権威主義的従属」と「迷信とステレオタイプ」の数値が低いようだ。これは自分として目指してきたところなので、素直に喜ばしい。それ以外の項目が下がったのが、私が自由主義者から無気力人間に「転落」した原因のようだ。私自身は「無気力人間」の方が好きだが。どうも前回点の高かったところ、つまり私をして自由主義者たらしめているところのものは、私のイヤな所を表しているようだ。だから多分昨日の方が正しかったのだろう。一応設問とそれへの回答を書いておこう。回答は「強く賛成」「賛成」「どちらともいえない」「反対」「強く反対」の五種類。

[1] 権威に対する尊敬と従属は、子供が学ぶべき最も重要な美徳である。
強く反対→権威に対する批評精神こそ子どもが学ぶべき美徳であると考える。
[2] しつけやマナーのよくない人間は社会人として不適格である。
どちらともいえない→若い頃ならば「強く反対」としただろうが、おっさんになった今、学生やバイトにいらつくことがある。そしてそういう自分を持て余している。
[3]人々がもう少し口を慎み、もう少しよく働くならば、すべての人々の暮らしがよくなる。
反対→そんな簡単なものではない。
[4] 実業家や工場経営者は芸術家や大学教授より社会にとってはるかに重要な存在である。
強く反対→私の存在価値がなくなるではないか(笑)。私は大学教授ですらないのだ。
[5] この世には人間の頭脳では決して解明されないようなことが沢山ある。
反対→こういう不可知論は、オカルトへの道であり、権威盲従への道である。
[6] 畏敬の念を抱かせるようなある種の超自然的な力に対しては、完全な信頼をおくべきである。
強く反対→「超自然的な力」とか「完全な信頼」というものはあり得ない。信頼できるのは合理的科学的認識である。
[7] 若者たちは、時として反抗的な考えを抱くものだ。 しかし、彼らも大人になるにつれて、そうした考えを乗り越えて自己を確立しなければならない。
反対→反抗的な考えを持ち続けることは必要だ。
[8] この国が最も必要としているのは、法律や政治制度ではなく、国民の絶大な支持を受けている勇敢で精力的で献身的な指導者である。
強く反対→法律や政治制度の崩壊したところに秩序はない。まさにスターリンヒットラーではないか。
[9] 正気で、分別のある礼儀正しい人間であるならば、自分の友人や知り合いを傷つけようなどと考えない。
どちらとも言えない→そういう面もあるだろうが、人にもよるだろう。
[10] どんな事でも、本当に重要なことは、苦しさを通じてのみ、学ばれるものだ。
強く反対→私のポリシーとは正反対。楽しいことから人は学ぶ。苦しさも必要かも知れないが、まずは楽しさから入らなければならない。
[11] 若者に最も必要とされているのは、厳しい規律であり、断固とした決断であり、そして家族と祖国のために働き、闘おうとする意志である。
強く反対→若者に必要とされているのは批評精神であり、それを保証する自由な精神である。家族や祖国という枠組みに束縛されるのは自由な精神を阻害する。
[12] 我々の名誉に対する侮辱はどのようなものであれ見過ごしてはならない。
強く反対→みみっちい。
[13] 強姦や小児暴行のような性的犯罪は、単なる禁錮刑以上のものに値する。これらの犯罪は、公衆の面前で処罰されるか、あるいはそれ以上の刑に課されるべきである。
反対→性的犯罪は悪質であり、人間性の蹂躙であるが、殺人罪などの重犯罪と区別する意味がない。道徳を法律に持ち込むのは、法の精神をゆがめる。
[14] 自分の両親に対して、心からの尊敬、感謝、愛を感じないような人間は最下等の人間である。
強く反対→親による。
[15] 現代の社会問題の殆どは、非道徳的で、精神の歪んだ、意志の弱い人々を取り除くことさえできるならば、解決されるであろう。
強く反対→そんな簡単なものではない。
[16] 同性愛は、犯罪と同じくらい害悪をもたらすものであり、厳しく処罰されなければならない。
強く反対→自由。
[17] 何か悩み事や問題を抱えているときには、そのことばかり考えずに、もっと愉快なことで気を紛らせるのが一番だ。
賛成→そんなことを言っていてはファシストに取り込まれるのかも知れないが、リラックスは必要。というか私はそういう現実逃避ばっかりしているような気がする今日このごろ。
[18] 現代社会では、昔に比べ、他人による干渉が強くなってきたせいで、プライバシーがなくなってきている。
強く反対→昔もプライバシーはないと思う。というか実は意味がわからん。
[19] 生まれながらにして勇気と決断力を持った人がこの世にはいる。
強く反対→「生まれながら」というのは胡散臭い。かなり後天的な環境要因に依拠すると思う。
[20] 人間には、弱者と強者の二種類しかいない。
強く反対→もう少し複雑だろう。
[21] 将来近いうちに世の中の多くの現象が超能力者によって説明付けられるだろう。
強く反対→超能力というものをそもそも信用していない。現象は科学的合理的分析によって説明されるはずだ。
[22] 戦争や社会問題は、大地震や大洪水など他の要因によって全世界が崩壊することで終止符がうたれるだろう。
強く反対→人間の本質はそんな単純なものではない。
[23] 強い意志を持っていれば、どのような弱点、困難をも克服することができる。
反対→強い意志は必要だが、弱点や困難による。私の体重問題は強い意志で何とかなるはずだが、私の手先の器用さは難しいだろう。
[24] 混乱を防ぎ、秩序を保つには、ナチス(天皇)のように何らかの伝統的権威を利用するのが一番よいことだ。
強く反対→一応歴史学に身を置くものなので、伝統的権威を批判し、相対化することに存在意義があると考える。
[25] 国民生活が、政府首脳によってどれほど大きく支配されコントロールされているかという点について、大多数の人間は気付いていない。
反対→わかりません。ただ気付いている人もいるんじゃないかな、というか、これ「どちらとも言えない」にしたいな。
[26] 人間の本質が今日のようなものである限り、常に戦争と対立は存在しつづけるであろう。
強く反対→戦争のない世界を夢想するのは決して空論ではあり得ない、ということを示すところに人文科学者の存在意義がある。
[27] 慣れすぎは侮りのもとである。
どちらとも言えない→すみません。意味がわかりません。
[28] 世の中には多種多様な人々が動き回り交流しあっているので、彼らから病気を感染させられたりしないように、注意深く自分を守らなければならない。
強く反対→多種多様な人間との交流飛び込んでこそ真実は見えてくる。なんてことを思うのですが、すみません、避けてます。ヘタレなので。
[29] 古代ギリシャやローマにおける野卑な性生活も、現代人の性生活に比べれば、まるで子供だましのようなものである。
反対→現代人の性生活はそんなに乱れていますか?
[30] 真の日本文化を守るには、なんらかの強い力が必要である。
強く反対→「真の日本文化」の意味がわかりません。自分にとって都合のいい虚構の「日本文化」ならば強い力で守りたいです(笑)。

これを見る時に注意点を一つ。これはドイツの哲学者、社会心理学者のアドルノの『権威主義的パーソナリティ』という著作を基にして作られている。アドルノユダヤ系だったので、ナチスの迫害を逃れてアメリカに亡命した過去を持つ。彼の「権威主義的パーソナリティ」という概念は、ナチスを支えた精神構造の解析に力点が置かれているので、「ナチス」的な側面が強い。日本の「ファシズム」はナチスとはずいぶんその基盤となる思想は違うので、日本では低めに出る、という側面がある。だからF尺度というよりはN尺度だろう。この数値はナチス的な尺度を計るものと考えたほうがよさそうだ。
ちなみにアドルノナチスを支えた権威主義的性格を次の七つに分ける。

教条主義的人格 
ファシスト傾向 
因習主義的人格 
反ユダヤ主義 
自民族中心主義 
右翼的権威主義 
形式主義 

真ん中の「反ユダヤ主義」というのは日本ではあまりない。当然F尺度のポイントは低く出るだろう。ここがほとんど機能しないうえに、アドルノ自身の問題関心から「反ユダヤ主義」につながるポイントは高く設定されている可能性は高い。