テロ特措法延長への柔軟姿勢の背景

森田実氏のブログ(「http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03564.HTML」)。

この夜、知人の新聞記者Q君から電話がかかってきた。
 「これから前原(前代表)のテレビ出演が増えます。新聞のインタビューも増えます。マスコミ(テレビ・新聞)が総がかりで前原を応援します。どうも“ある筋”からテレビ局と大新聞社に「前原の出演を増やせ」との圧力があったようです。この点は、もっと調査して確実なことがわかったら、お知らせします。
安倍復活戦略のポイントは、森田さんが指摘したように、テロ特措法の延長問題で民主党を分裂させ、前原グループ民主党から離党させて自公連立に加えるというシナリオのようです。すでに大がかりな動きが始まっています。日本政界だけではありません。国際的です。
 第一段階が、前原民主党前代表を毎日のようにテレビに出演させ、テロ特措法延長反対を表明している小沢代表を批判させることです。さらに、民主党内の何人かの従米主義者も登場します。テレビが民主党の内部対立と分裂を煽り立てる――これが第一段階です。
 同時に、前原らが民主党内で小沢執行部反対の分派を結成する。“米国との関係が悪化したら大変だ。日本は潰れる!”と大騒ぎするようです。前原らはもともとこの日のために民主党内に送り込まれた“草”のような勢力とみられています。御主人(アメリカ)への恩返しのためなら何でもやるでしょう。要注意ですね。
 参院選後、テレビ、大新聞へのテコ入れが相当進んでいます。マスコミは、小泉郵政解散のときのように政府側に立って大フィーバーするおそれ大です。注意してください。また連絡します」

 安倍復活戦略が発動したようである。Q君は相当奥深いところまで取材している記者で、いつも的確な情報を知らせてくれる。Q君の話はつづく。
 「マスコミが前原を大々的に応援し、前原のもとに民主党内の従米・タカ派を結集し、小沢体制に揺さぶりをかける。時期をみて全面戦争に持ち込み民主党を分裂させる。“テロ特措法延長、かけがえのない日米関係堅持”の大義名分で安倍自公連立政権と政策合意し、『自公前』連立政権をつくる。ここで衆院を解散するというシナリオが動き始めたようです」
 “アメリカ共和党政権の対日政策担当者が動き出した”との情報も入ってきている。大がかりな小泉・安倍従米路線復活作戦が動き出したといえるかもしれない。

多分小沢一郎民主党代表もわかっていて、菅直人代表代行に「もともと一切支援すべきではないという姿勢で反対したわけではない。自衛隊派遣そのものに反対したイラク復興支援特別措置法とは違う」とアドバルーンを揚げさせていたんだろうな、と思った。菅直人代表代行のテロ特措法への柔軟姿勢に批判が沸き起こったのを見て、テロ特措法延長に強硬に反対するという路線を取ったのかな、と。小沢代表というのはおそらく対米関係に関してはどちらでもいいのだろう。もし菅直人代表代行の発言に賛同の意見が多ければ、民主党も柔軟姿勢に変わっていたのかも知れない。
もう一つ言えば、結局は衆議院の再可決で決まるので、民主党はどこまでも反対を貫くことでメンツを保つのか、修正に応じさせてメンツを保つのか、という選択肢なのだろう。現状では突っ張るだけ突っ張った方がメンツが保てる、と考えているのだろう。テロ特措法の延長反対が単なる政争の具となっている。その意味で私は小沢代表の次のような「思い切った発言」(「amakiblog.com - このウェブサイトは販売用です! - 政治活動 リソースおよび情報」経由)にはそれほど期待していない。

「・・・アフガニスタン戦争は『これは米国の戦争だ』とブッシュ米大統領が始めた戦争だ。国連安保理決議で認められた活動と、米国の戦争では全く性格が違う・・・」(朝日新聞)、「・・・アフガン戦争はアメリカが『我々の戦争だ』と言って始めた。国連や国際社会は関係ない。とすれば答えはわかるだろう」(毎日新聞)、「・・・アフガン戦争は、ブッシュ米大統領が国連や国際社会と関係なしに米国の自衛戦争だと言って始めた戦いだ・・・」(日経その他)

というよりも私は小沢代表という政治家にそれほど多くを期待してはいない。私が最も深く政治に関わった時代、最大の敵は小沢一郎自民党幹事長だったからかも知れない。小沢氏が選挙を上手く戦って自民党参議院における過半数割れを演出したことは、素直にすごい、とは思うが。もっとも自民党破壊に一番貢献したのは小泉純一郎前総理だろう。