優先座席復活

阪急が全席優先座席という方針をやめ、優先座席を復活させた、という。関西のニュースでは大きく取り上げている。そしてお得意の「公徳心の欠如」。そうではおそらくないだろう。優先座席でなくても、必要な人に席を譲るのは当然のことなのだ。そして意外に席を譲る若い人を目にする。優先座席があった頃から結構優先座席でなくても席を譲る若い人はいたし、今もいる。
しかし席を譲ってもらえない、という苦情が多い、というのも事実だろう。優先座席がなくなって、何が変わったのか。
優先座席があると、そこには座らない、という暗黙の了解事項ができあがるのだ。優先座席に座って、前に必要とする人が来ても立たない、という光景も目にするが、それはその人の公徳心が欠如しているだけであり、取り立てて「今の社会現象」と問題視するにはあたらない。優先座席に居座る不作法者もいるが、それと同程度に優先座席でなくても率先して譲る人もいる。それだけの話だ。
優先座席がなくなると、座りづらい席がなくなり、そうなると席を譲らなければならない場所が増えたのだ。席を譲る、という行為は結構エネルギーが必要である。結果席は譲られない、ということになるのである。
優先座席を設けるという阪急の姿勢は、基本的には賛成である。その方が席を譲られる方も、席を譲る方も助かる、と思っているだろう。しかしそれを梃子にして「公徳心の欠如」とか「最近の若い者はけしからん」とか煽ることには警戒したい。