阪神ーヤクルト開幕戦

なんと言っても金本知憲選手と関本健太郎選手のホームラン、安藤優也投手の7回2失点の投球など、見どころが多く、結果も5対2で勝ったので大変よかったのだが、私なりに目についた部分に言及すると、安藤投手は好投した、と言われているが、印象から言えば、粘投、だったと思う。変化球が引っかかってショートバウンドになる場面が目につき、必ずしも出来はよくなかった、という印象だ。悪い時に悪いなりに粘る見本、という印象だった。狩野恵輔捕手の頑張りはやはり特筆されるだろう。ここ10年、開幕マスクは矢野輝弘捕手がかぶってきたのだが、今年はひじの手術とふくらはぎの張りによって開幕に間に合わなかったため、矢野捕手の代わりを誰がするか、ということが話題になっていた。何しろ矢野捕手が1999年に開幕マスクをかぶって以来、常に矢野捕手が当然のように開幕スタメン捕手だったわけで、98年に山田勝彦捕手(現楽天ゴールデンイーグルス1軍バッテリーコーチ)が開幕スタメン捕手になって以来、矢野捕手以外の選手が開幕スタメン捕手として出場する、ということになったわけである。しかも今年は野口寿浩捕手がFAで横浜ベイスターズに移籍しているため、いきおい若手捕手の抜擢とならなければならない。現在タイガースの捕手には矢野捕手の他には狩野捕手、岡崎太一捕手、小宮山慎二捕手、清水誉捕手、橋本良平捕手がいて、他に外野手登録ではあるが、浅井良外野手が捕手経験もあって、いざとなれば捕手として出場もできる。矢野捕手はいわゆるアラフォー世代で、今年41歳になる。ポスト矢野の育成は急務で、その一番手と期待されてきたのが狩野捕手なのである。特に一昨年ブレークし、矢野捕手を控えに追いやるか、というほどの活躍を前半見せたのだが、後半には失速し、結局矢野捕手を追い越すことはできなかった。それどころか二番手捕手争いでも同じくベテランの野口捕手の後塵を拝し、昨年は12試合の出場に留まった。若手とベテランが同じ力量ならば若手を使う。つまり野口捕手よりもだめ、という烙印をおされたようなものである。実際野口捕手は一昨年は上園啓史投手、昨年は岩田稔投手の時に主にマスクをかぶり、ベテランの存在感を見せつけた。さらに言えば、リードだけでなく、打撃・送球の面でも遅れをとったという面は否めない。
野口捕手が横浜に移籍し、矢野捕手は手術をした。狩野捕手には大きなプレッシャーがかかったようだ。送球が思う所にいかない状態に悩まされ、岡崎捕手や清水捕手や小宮山捕手に追い越されそうになり、非常に苦しんだようであった。それをはねのけて開幕マスクを手にした。大きな自信になったことだろう。そして他の若手捕手にとってもよい刺激になったと思われる。