留置権

物権の中の留置権。法定担保物権の一つ。例えば時計屋の場合、時計を修理したが、その代金を払ってもらえない。こういうときに代金を払ってもらうまで時計を自分の手元に留置することが出来る権利。付従性、随伴性、不可分性、留置的効力を持つ。物上代位性と優先弁済的効力はない。
付従性とは債権が存在してはじめて発生し、債権が消滅すればそれに伴って消滅する、つまり、代金の支払いを受け、債権が消滅すると、時計にあった担保物件も消滅する。
随伴性とは、再建が他人に移転すれば担保物件もそれに伴って移転すること。
不可分性とは債権全部の弁済を受けるまで目的物全体に対して権利を持ち続けること。修理代金が5000円で、4800円払っていても残り200円を払わなければ返してもらうことは出来ない。
優先弁済的効力がない、というのは、その時計を売って債権にあてることはできない、ということである。
で、本題だが、「へぇ〜」と思ったこと。
Aは自動車修理業者BにランボルギーニカウンタックLP500の修理を依頼し、その後、ポルシェ930ターボの修理も依頼した。Bはカウンタックの修理を終了し、これをAに返還したが、Aが修理代金を支払わないため、Aに対する報酬請求権を担保するため、留置権を主張してポルシェの返還を拒んでいる。これに対してAはその金を払うことなくポルシェの変換を求めている。Aの主張の根拠は何か。
私みたいにド素人は「そらBさんも困るだろうから、Aはとっとと払えよ。っていうか、Aが主張するのはおこがましいんだよ」と思うわけだが、法律的にはBはAにポルシェを返還する義務はあるようだ。もちろんBはAに「金払え」と要求する権利はあるのだが、「金払え」というためにポルシェを返還しないのはだめ、ということらしい。
カウンタックの修理代金はあくまでもカウンタックに関して生じた債権であって、ポルシェに関して生じた債権ではない。留置権て担保される債権は、その物(留置物)に関して生じた債権でなければならない、カウンタックの修理代金に対する留置権カウンタックに関してのみ生ずるので、Bのポルシェについては留置権が成立していないので、AはBに対してカウンタックについての債権を弁済することなくポルシェの返還を求めることができるらしい。何か「ごね得」だよな、と思ってしまうのは、まだまだ修業が足りない、ということなのだろう。
今、物権のところで、中々勉強が進まない。これから債権に入るのだから、まだまだ大変だ。この物権と債権を越えれば先は見えてくるのでここが頑張りどころ、と自分では思っている。