坂本勇人選手のボーンヘッド

昨日の阪神ー巨人戦第7回戦、3回表1死2・3塁の場面。巨人の打者小笠原道大選手の二塁前のゴロを阪神平野恵一二塁手が本塁送球。3塁走者坂本勇人選手は本塁突入するが、自重し、3塁へ引き返す。2塁走者の脇谷亮太選手が3塁にいたために、公認野球規則7.03「二走者が同時に一つの塁を占有することは許されない。ボールインプレイのさい、二走者が同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位の走者に与えられているから、後位の走者はその塁に触れていても触球されればアウトとなる。」に基づき、3塁を占有する権義は前位の走者つまり坂本選手に与えられ、後位の走者脇谷選手は触球された時点でアウトになる。城島健司捕手は脇谷選手にタッチし、脇谷選手がアウトになり、その後坂本選手も塁を離れたため、タッチアウトになった。
それに関する巨人側のコメント(スポーツ報知から引用)。
原辰徳監督「私が(ルールを)教えていなかったというところで、私が悪いんです」
伊原春樹ヘッドコーチ「あれは走塁ミスと言うの? 今は少年野球も盛んで、指導者もそういうところは教えているはず。プロでもポワンとする部分があったんでしょ」
緒方耕一外野守備走塁コーチ「ルールを知らないとは思わないけど、審判がコールするまで(ベースから)離れなければいいだけのこと」
だれのコメントが一番こわいだろうか。私だったら原監督に一票。しかしスポーツ報知は「指揮官として敗因を背負った」と書き、「首脳陣の2人(伊原・緒方)が厳しい言葉を並べた」と書いており、サンケイスポーツは原監督に関しては「責任を背負い込んだ」とスポーツ報知と同じ見方をしているが、緒方コーチについては「『ルールを知らないとは思っていない』とかばった」と書いて、スポーツ報知の「厳しい言葉」と解釈の違いを見せている。スポーツニッポンでも緒方コーチについては「『ルールを知らなかったとは思ってない。エラーを引きずっていたのかな』とかばった」とサンスポに合わせ、原監督については「『私が教えていなかったということ。私が悪かった』と唇をかんだ」と少しズレをみせている。日刊スポーツでは原監督の様子について「試合がもつれる原因となった坂本のボーンヘッドについてはため息が出た。『教えていなかった私が悪いということ』」と書いている。デイリーは「首脳陣は怒り心頭」とまとめたうえで、原監督については「『私が(ルールを)教えなかったというところで、私が悪いんです』と吐き捨て、伊原ヘッドも『流れが寸断されたのは確か。今は少年野球も盛んだし、指導者もそういうことは教えているだろうし」と苦笑いを浮かべた」とある。
原監督のコメントはほぼ動かず、それを「責任を背負い込んだ」と考えるか「怒り心頭」と考えるかは解釈如何によるが、緒方コーチの発言はかなりトリミングがされていることがわかる。
スポーツ報知「ルールを知らないとは思わないけど、審判がコールするまで(ベースから)離れなければいいだけのこと」
サンケイスポーツ「ルールを知らないとは思っていない」
スポーツニッポン「ルールを知らなかったとは思ってない。エラーを引きずっていたのかな」
「ルールを知らないとは思っていない」という趣旨は同一だが、「審判がコールするまで離れなければいいだけのこと」と「エラーを引きずっていたのかな」の間にはかなりの距離がある。おそらく実際には緒方コーチは両方ともいったのだろう。私が考える緒方コーチの発言は次の通りである。
「ルールを知らないとは思わないけど、審判がコールするまで離れなければいいだけのこと。エラーを引きずっていたのかな」
つまり厳しいことを言ったあとでフォローしたのだろう。しかしどこを採用し、どこを省略するかでかなり印象が異なってしまう。難しいところだ。