藤間生大『日本庄園史』

中世史研究者の戸田芳実がこんなことを書いていた。

この草創期・開拓期の達成した古代−中世移行論の研究水準を自分たちのものにするためには、何をおいても前期四人の著作、すなわち石母田正『中世的世界の形成』、藤間生大『日本庄園史』、松本新八郎『中世社会の研究』、清水三男『上代の土地関係』と全力をあげてとりくんでほしいと思う。これら古典的著作について、近年あれこれのかたちで語られる解説や学説の要約でしか知らないという研究者は、科学としての封建制成立論を論ずる資格なしといっても過言ではない。(『歴史科学体系 4 日本封建制の国家と社会(上)』解説)

「近年あれこれのかたちで語られる解説や学説の要約でしか知らないという研究者は、科学としての封建制成立論を論ずる資格なしといっても過言ではない」といわれては大変だ、とばかりに必死になって石母田、松本、清水の著作は古本屋を駆けずり回って手に入れた。しかし藤間著作だけはどうしても手に入らない。大学図書館にもない。「どうせ科学としての封建制成立論を論ずる気なんてないもんな」と開き直って、そのまま忘却の彼方に追いやっていたが、今日の史学史の講義で扱ったので、ふと「日本の古本屋」(日本の古本屋)で調べてみたら1000円からあった。安っ!というわけでゲット。多分読む人いないんだろうな。