『福山秘府』巻之二について

『福山秘府』は松前藩の家老であった松前広長の著述によるものである。詳しい説明は省くが、「年歴部」と言われる部分が松前藩の歴史を調べる上で非常に重要である。現在普通に手に入るのは『新撰北海道史』所収のものであるが、いかんせん欠が多い。巻之二、巻之四、巻之七が欠けていて、『松前年歴捷径』で補われている。一九五六年に巻之四が見つかり、函館図書館から出版されている。これは古本屋で三〇〇〇円で見つけたので、全く入手できないものでもなさそうだ。その後、一九六〇年に小樽市郷土史家の越崎宗一氏が松前広長第十子の松前式三郎、後に和田義継が写した写本を発見し、出版した。それを一項目ずつデジタル化しようという適当なプロジェクト。間違いなく巻之二の途中で挫折する。
『福山秘府』巻之一は嘉吉三年から明応七年まで。巻之二は文亀二年から天文二十三年まで。関心のある人は巻之一はよそでみていただくことにして、明日から巻之二を一項目ずつここに引用していく。ただかなり間違いが多そうだ。たとえば「河舎利夫」という言葉が文亀二年条にある。なんだろか?と思って文明十五年条をみると同じ永快という人物が「阿舎梨」であったという記事があり、「河」と「阿」は確かに似ているし、「利夫」は縦に並べれば「梨」と似ていないでもないので、おそらく阿舎梨を「河舎利夫」と間違えたのだろうという結論に達した。そういう間違いはほかにもありそうなので、そこが難関だが、とりあえずやれるところまでやってみる。巻之七まで行く可能性はゼロだ(笑)