本日の難問

論説文で佐々木瑞枝「女の日本語 男の日本語」より。

北欧では狼は神話の中で終末論的イメージを持ってあらわれるようだ。
そう言えば子どもの頃に読んだグリム童話にも「赤頭巾ちゃん」とか「狼と七匹の子山羊」などがあった。(中略)狼はあまり良い役を与えられていない。それだけ狼は人間を襲う動物として恐れられているということなのだろうか。
(中略)
ノルウェーの狼に比べれば、日本の狼の方がずっと優しい扱いを受けている。

問題1 北欧で終末論イメージがあることについて、その理由を筆者はどのように考えていますか。文章中の言葉を使って、三十字以内で答えなさい。
問題2 「ノルウェーの狼に比べれば、日本の狼の方がずっと優しい扱いを受けている」とありますが、それはなぜだと考えられますか。四十字以内でまとめて答えなさい。
 
解答と解説
 問題1は問題ないでしょう。「狼は人間を襲う動物として恐れられているということなのだろうか」というところに注目できれば、おのずから解答は出ます。「北欧では狼は人間を襲う動物として恐れられているから。」ですね。「理由」が聞かれていますので、末尾は必ず「から」か「ので」。ここをいい加減にする人が多すぎ。今ごろは大体が「こと」とか答えます。いちいち直します。ゴールデンウィークまでには習慣になってもらわないと。
 問題2が問題です。文中を探しても解答はありません。自分で考えなさい、ということです。こういう問題で大体答えが当たらない方、いらっしゃいませんか?「何でも良いやん」と思ってらっしゃらないですか?私がそうでした。で、いつも×でした。で、いつも文句言ってました。文句を言っていても始まりません。私も予備校で講師にいわれました。
 実は答えは決まっています。あくまで本文に則さねばなりません。でなければ何でも良い、ということになり、全員正解となって、選抜試験の意味がありません。問題1がヒントです。「北欧では○○」といっているのでありますから、「日本では××」というように「○○」に対応する言葉を考えねばなりません。「狼は人間を襲う動物として恐れられている」からノルウェーでの狼の扱いはひどい扱いなのです。ということは「狼は人間を襲わない」ため「恐れられなかった」という方向での解答以外はあり得ません。解答例です。「日本では狼が身近な存在ではなかったため、恐ろしいというイメージが少ないから。」となります。
一見本文に書いてなくて、自分の言葉で書かねばならないような問題でも必ず本文に手掛かりがあります。落ち着いて探しましょう。