俳句の読解

 今日は塾は休み。なので、以前詩・短歌の読解のこつを書いたが、今回は以前書き漏らした俳句の読解。入試で多いのは近代俳句。特に私がフィールドにしている兵庫県の私立中学では灘がほぼ出てくる。灘の俳句問題は季節に関する語彙を豊富に持っておくこと、これにつきる。しかしここではそれ以前の基本的な事柄について。俳句も短歌と同じ。まず区切ること。

荒海や佐渡に横たふ天の川
 区切ります。
荒海や 佐渡に横たふ 天の川
 あまりにも有名なこの句を選んだ理由は、この句が俳句問題のエッセンスを含んでいるからです。まず俳句の読解では季語と切れ字を探します。切れ字は作者の感動の中心ですから、そこが観賞の中心ポイントになります。切れ字はいろいろありますが、「や」「かな」「けり」位覚えておけば当面困らないでしょう。それ以上は必要に応じて覚えて下さい。
ここでは初句の「荒海や」に切れ字があります。観賞ポイントは芭蕉は荒海に感動しているわけです。これで観賞問題はほぼクリア。
 あとは季語ですが、「天の川」。これは夏、と答える生徒が多いです。こういう問題はそれを狙っています。普通は授業でしつこく教えるのでひっかかるのは生徒が悪いわけで、こういう問題を落としているようでは、学力不足とかいうレベルではなく、単なる注意力不足ということになります。
 「天の川」は秋の季語です。旧暦と新暦、という話をしますが、2,3回言わないと通じません。私はそこでいきなり♪笹の葉さ〜らさら♪という歌を歌います。めちゃくちゃ音痴です。で、最後に「♪お〜星さ〜まき〜らきら♪、なわけねえだろう!」とぼけます。そうです。新暦の七月七日は梅雨の最末期で、雨がよく降ります。織り姫様と彦星様がデートなどできるわけありません。なぜそんな日にわざわざ七夕をするのか。そこで旧暦の七月七日の話をする。八月下旬になる。このころはよく晴れる。だから「♪お〜星さ〜まき〜らきら♪」なわけです。というと半分くらいの生徒は理解してくれます。あとの半分は聞いていません。あるいは聞いたとしても速攻ぬけて行きます。だから2、3回。子供相手にはしつこく。これが秘訣です。大人相手には嫌われるくらいしつこく。だから回りくどく、しつこい、と友人に嫌われている人は、塾の講師は適任です。