変な季語

今日はゴキブリ。私はゴキブリはそれほど嫌いではない。同じ節足動物ならば、完全変態する昆虫の幼生がきらいだ。青虫、芋虫、毛虫。全部いや。それに比べるとゴキブリはまだかわいげがある。見たら殺すけど。ただこちらに向かって飛んでくるのは勘弁して欲しい。昔高校で宿直のバイトをしていた時には宿直室に大量にいたのでゴキブリ○イ○イを仕掛けたら、びっしりとついていた時には引いた。しかし様々な種類のゴキブリがいてあれはあれで面白かったな。
で俳句。

愛されずして 油虫 ひかり翔つ 橋本多佳子
これは切り方に異論があるかも知れない。私も迷っている。そこでもう一つの切り方を示しておく。
愛されず して油虫 ひかり翔つ 橋本多佳子
この方が五七五だから、受験生は何も考えず、こう切ることを勧める。
橋本多佳子は杉田久女や山口誓子に俳句を習い、誓子の「天狼」創刊に同人として参加した俳人。これも「天狼」所収。
季語は「油虫」。夏の季語。愛されずにもかかわらず、ゴキブリ光をはなちながら飛び立つ、というところか。ゴキブリってなんでこちらに向かって翔んでくるのだろう。あれがいやなのだ。いかん、いかん。あのギトギトを「ひかり翔つ」と詠むところ、面白い。あれはどう見ても「ギトギト」で「ひかり翔つ」ようなものではない。あのうざい「ぎとぎと」を「ひかり翔つ」だったら、中年親父の額も「ひかり翔つ」だろう。これからは脂ギトギトのデブオタである私も「ひかり翔つ」という自信を持って、これからの人生を歩もうと思う。