本日の難問?

藤井克彦「釣りに行こう」より。

ただ、釣った魚すべてを無条件にリリースすることだけが自然への優しさではありません。なぜなら魚は、もともと人間の仕掛けたハリに掛かって、逃げようと必死になって暴れるだけなのです。それを「よしよし、いいファイトをしてくれたね。ありがとう。また大きくなって来いよ」といって逃がす行為は、一見、命を奪わないというだけをみれば美しいのですが、魚にとってみれば、単にひどいいじめにあったにすぎません。まったくもって迷惑なだけなのです。つまり万物の霊長、あらゆる食物連鎖の頂点に立つ人間のおごり、偽善にすぎないといってもいいでしょう。

問題
  線「釣った魚すべてを〜優しさではありません」とありますが、筆者は釣った魚すべてを無条件にリリースすることをどのような行為だと考えていますか。「〜行為。」に続く形で、文章中から十四字で書きぬいて答えなさい。
誤答例1
「単にひどいいじめにあった」行為。
おいおい、十二字やで。問題文を読め、問題文を。「十四字で書きぬけ」って書いてあるやろ。
誤答例2
「まったくもって迷惑なだけ」行為。
十二字やがな。問題文を読めって。大体「だけ行為」って何やねん。日本語になってへんがな。
誤答例3
「一見、命を奪わないと言うだけ」行為。
十四字なのは確かだが、字数を合わせりゃいいってもんやないで。大体つながってないし。自分で読んでみろよ。日本語おかしいがな。
誤答例4
「偽善にすぎないといってもいい」行為。
あ、十四字、あ、つながっている。でも何でそこからはじめるかなあ。「偽善」の前に読点があるやろ。この読点の意味を考えろよ。これは「人間のおごり」と「偽善」を同格で結んどるんや。わからんか。(注、実際に小学生にこれは言っておりません。これをわかりやすく変えてあります。ただし不正確になるので、正確な意味になるようにここでは改変しました)
解答
「人間のおごり、偽善にすぎない」行為。
以上、上品な先生によるやさしい授業の中継でした。
誤答例1と2は論外です。字数を守らない、というのは絶対にだめです。注意力散漫。そもそもこの二つは魚から見た感想であり、人間のキャッチ&リリースという行為に対する筆者の意見ではありません。
誤答例3はやらかしがちです。常に解答を読み直す、という癖をつけさせなければなりません。答えが出来た、となったら、ものすごい勢いで解答しますから。
誤答例4はほぼわかっています。しかし試験というのは冷酷なもので、論外の1や2も惜しい4も同様にペケです。4は惜しいから部分点とはいきません。4まで出来れば、ちょっとずらせばいい、と思うのですが、教師から「ちがうで」と言われただけで子供はパニックになっています。4からヒントをあげても正解には中々たどり着きません。簡単にたどり着ける生徒が見どころあります。間違わない生徒よりも、間違いを指摘されたらすぐに修正できる生徒が有望です。