トラックバック

私は塾講師の他にバイトで大学講師もしている。今年卒論を読まされたが、一つ気になる傾向があったことを思い出した。
今年はきわだってレベルが低かったようだ。私の指導教授のA先生がわざわざ私に頭を下げて「○○君、申し訳ない」だと。卒論のレベルが低いのだ。もう一人の指導教授のB先生は私と微妙に専攻分野がずれているので、基本的に主査・副査のコンビを組むことはない。ただ外部の人に見せられない低レベルの論文を私が副査として審査するのだ。しかしA先生とは専攻分野が重なるので、毎年副査を担当する。だからレベルの高いのも、低いのも存在する。しかし今年はレベルが低いらしい。
で、内容はともあれ、気になるのは、史料を引用していない論文が多いことである。本文で言及したのだから、普通どこかに引用するものだろう。ところが史料の所在は書いてあるが、現物はない。自分で調べろ、ということか。温厚なA先生が怒り心頭で、「なんなんでしょうねぇ」とぼやいている。「今年はこんなんがいくつもあるんですよ」とも。そのとき私の頭にひらめいたものがあった。で、学生に聞いてみた。「トラックバックのつもり?」学生「そうかもしれません」って、をい!ネットならばそこ押せば出てくるんだよ。卒論ではでないんだよ。頼むよ。A先生にトラックバックも解説しなければならないし。史料を持っているだろう、って?持ってねえよ。何で荘園の史料を持っていなければならないんだよ。確かに中世史という売りだよ。しかし最近はアイヌ史研究者なんだよ、おれは。荘園なんてやったこともねえよ、中世史研究者だけどさ、一応今でも。