カッコイイ入門

近ごろ反知性主義がきているらしい。
例文

国旗国家は個人の心情によるところも大きいので、自由にやればいいと思う。
ただし、問題なのは公立の学校として国の税金で運営され、さらに国のお金で雇われている人間である教師がこういった反対という行為をするのは明らかに間違っていないか?国旗国家がいやなら、その大元である日本国からのお金である給料を全額返還して欲しい。そんなやりたきゃ私立の学校か、自分で学校作ってそこで勝手に新しい国旗国歌つくってやりゃあいい。

というような文が散見される。
国旗・国歌問題については、当然様々な意見があって、その意味では第一文に書かれていることには私も賛成する。自由にやらせてくれ。それから私は「そんなやりたきゃ私立の学校か、自分で学校作ってそこで勝手に新しい国旗国歌つくってやりゃいい」という提言に従って私立大学と塾で勝手にやっている。ただし新しい国旗国歌作るほどの根性ないし、塾で国旗国歌を否定するのはクレームにつながるのでできない。大学位か。しかし大学も私学助成金をいっぱいもらっているしな。私は国旗の掲揚が義務づけられはじめたころに大学生だったので、最初っから公立学校の教員になるつもりもなかった。というか、教員免許がとれなかっただけだが。
で、本題だが、根本的な間違いを彼・彼女はしている。国の税金で運営されているから、国に反対するな、というのはおかしい。税金は私たち国民の金である。税金を払ったことのあるものならばわかるはずだ。可能性は二つ。彼は税金を払ったという実感がないのか、または無知であるかだ。給与明細を見ろ、といいたい。どれだけ取られているか。もし学生・生徒・児童などで親に生活を全面的に援助してもらっているのであれば、消費税を見ろ。どれだけ取られているか。税金を払っていない人は大げさに言えば存在しない。だからその税金で養われている人は、国家のいうことだけに従わなければならない、という謂われはない。税金を納めている人にも多様な考えを持つ人がいる。そして多様な考えを容認するのが現在の日本の国柄である。「税金全額国に返せといいたい」ということであるが、私の税金は返さんでいいからね。ついでに私の父親の納税した多額のお金も返さんでいいし。他にもそう思う人もいるだろう。逆に私の意に沿わないことに使われた税金を返せ、なんて馬鹿なことを私はいいません。
似たようなことはNHK問題でも散見された。NHKは国営放送だから国益に反することをやっては行けない、という論調である。これは無知か悪意があるかどちらかだ。NHKは受信料で成り立っている公共放送である。国営ではない。税金はそもそも投入されていない。その程度の小学生でも知っていなければならない知識を知らずにNHK問題を論ずることはおこがましい、の一言だ。でなければ、多くの人はそんなことを知らないから、ごまかしとけ、というのであれば、極めて悪質な行為だ。
こういう無知を前提とした議論がまかり通る前提が最初に書いた、ちかごろ反知性主義がきているらしい、という言葉の意味である。自分の思ったことをそのまま書きつけるのがカッコイイのだ。日の丸・君が代を国旗・国歌として是認する考えの人にもすぐれた人は多く、また反対する人にもカスは多いのも事実だ。そのことを認めた上で、反知性主義がしばしば国家のなすことに無条件に賛成する傾向に警鐘を鳴らしたものとして私が着目しているのが小林よしのり*1のネット社会論だ。小林氏の『ゴーマニズム宣言』最新刊や、『わしズム』に注目している。

*1:もともと小林氏の考えは私とはあわないはずだ。しかしネット社会論やアメリカ観には私は小林氏に学ぶところは多いと思っている