鉄ヲタの独走スクープ(周回遅れ)

というわけで、散々出た話題を蒸し返す。今ごろこんなこと言っているヤツはいないだろ、という訳で独走(周回遅れ)。
事故直後、「事故車両は120km以上出ない」という話が出た。複数のテレビ局で言われていたから、それなりのソースがあったのだろう。で、「速度計には150の数字まで刻まれていた」というツッコミも入っていたから、テレビ局も「怪しい」と思いながらその情報を受け取っていたのだろう。多分「脱線するのは133km以上」というJRの発表とセットだろう。とすれば、「事故車両は120km以上出ない」という情報はJRが流した可能性が極めて高い。もっとも事故車両が108kmでカーブに突入し、脱線したことが明らかなので、誰ももうツッコム人はいないので、周回遅れの独走となっているわけだが、ここでも「???」と思わざるを得ない。
車両の最高速度とは何だろう。207系の設定最高速度は確かに120kmだ。これは事実である。しかしそれは120km以上出ないことと同義ではない。出そうと思えば出る。多分180kmまでは出るのではないかな。最高速度120kmとはどういうことか。それはブレーキの設定である。法令で非常用ブレーキをかけて600mで止まれるスピード、それが最高速度である。法令の適用が除外されているのは踏み切りのない路線。従って新幹線は2kmと定められている。湖西線では485系による「スーパー雷鳥」が法令の適用除外を受けて130km走行をしていた。今でも青函トンネル内において485系「白鳥」は140km運転をしているはずだ。ちなみに現在の223系新快速や681系「サンダーバード」、あるいはJR九州の「つばめリレー」など130kmで走る列車もあるが、それらはブレーキ性能が向上しているので600m以内に止まれるのである。
この十年ほど、JRは快速列車の速度向上を目指して113系を110km対応に改造している。ヲタ的な説明をすると5000番台に改造しているのだが、それはブレーキの改造だ。別に駆動装置を改造しているのではない。最高速度とはブレーキの問題だ。
もし「事故車両が120km以上出ない」という情報がJRから出されたとするならば、JRはかなり見え透いたウソをついていることになる。他のところから出された情報ならば、それはとんでもない初歩的な過ちだ。実際には108kmで突っ込んで脱線したので関係ない話になってしまったが、こういうデマに振り回されてはいけない。理論上130kmで脱線する、というJRの出した情報(それもいいかげんなものだったわけだが)と車両の最高速度は120kmという情報を繋ぎ合わせると、「JRに責任はない」という昨日列挙した1の立場を何とか根拠づけよう、という意図が、この「最高速度は120kmでそれ以上出ない」という情報に見え隠れするのである。