若嶋津が好きだった

覚えていますか?現在松ケ根親方として活躍中なのかどうなのかは知らん。部屋運営は上手く行っているようだが。詳しくは知らん。今はどうでもいい。
私が若嶋津のファンになったのは、一九八六年の初場所。先場所三勝一二敗という絶体絶命のピンチを千秋楽の北天佑戦でしのいでから。そのころ何しろ弱かった、という印象があった。私の印象ではかど番の連続という印象だったが、今記録を見直したら意外と強かった。全勝優勝も一回しているし。かど番だって四回しかないし。千代大海の方が余程弱いわね。でも千代大海って応援する気になれない。なぜか、というと、何となく強そうだし。若嶋津はひ弱そうだったのだ。全盛期は知らない。私が注目しはじめたころはもう衰えはじめて、がたがたなのがはた目にもわかった。体も細く、どうみても勝てそうにもない。多分北天佑朝潮にはかなり負けてもらっいたのではないか、などと勘ぐりたくなる雰囲気だったのだ。そういういかにも頼りない雰囲気が好きで、若嶋津を引退まで見続けた。若嶋津引退後は霧島。特に大関昇進後の霧島は好きだった。頼りない風情の大関。最高に応援しがいがある。今はああいう儚い雰囲気を漂わせた力士がいないな。
などと書いたのは当然若貴問題について一言あるからだ。私の趣味を理解できない、という人は多いだろう。ぼろ負けを繰り返すヤツを応援して何になるのか、とか。意外と日本人って判官びいきだから高見盛なんぞ人気があるのだろうが、若嶋津と霧島の弱さを観賞する、という人はあまり居なかったような気が。あくまでも私の妄想だが。
私の父親は私とは正反対の思想の持ち主だった。千代の富士を応援していた。千代引退後は貴乃花だ。強ければいい、阪神を除いて。だから阪神が弱い時は大変だ。テレビを見ない。そういう人は阪神ファン失格だと思うが。もう一人貴乃花ファンがいた。元公安監視付きの研究者だ。今は某大学の教授に収まっているが。その人は巨人ファン、長嶋ファン、若貴ファン、というゴールデンパターン。
二人の若貴ファンの対応は宮沢りえ問題の時に大きく分岐した。私の父はある種リアリストだ。強ければいい、人間性は問わない、という考え。だから貴乃花を応援し続けた。今は朝青龍を応援しているにちがいない。
公安マーク氏は違った。貴りえ問題が出ると「お兄ちゃん」ファンに豹変したのだ。で、こういう人は多かったのだろう。その人も周囲から「信じられんミーハー」と批判されていたし。
貴乃花親方が花田勝氏に反発する背景には、自分は結局恋人も、世間の評判も犠牲にして藤島部屋のために動いた、という思いがあり、それを軽く見た父親、母親、兄、世間に反発しているのではないか、と思うのだ。世間、特にワイドショー系のマスコミは貴乃花を完全に悪役にしてしまい、対照的に若乃花によいイメージを持たせた。そのような状況に追い込まれた貴乃花をフォローした人が花田一門の中にいたのか、疑問だ。貴乃花は結局相撲を極めることでしか自分にまつわりついた悪いイメージを払拭することが出来なかったのではないか。貴乃花親方が意固地になって暴走している現状を非難することはたやすい。しかしマスコミと花田一門は自分が貴乃花にしてきた仕打ちを省みることも必要だろう。私は現役時代の若貴には何の関心もなかった。だが私ははじめて若貴に注目している(少しだけ)。