物語文攻略法

物語文の問題は、多くが登場人物の気持ちを答えよ、というものに収斂される。あとは場面を分けよ、位だ。
登場人物の気持ち関係の問題としては、「なぜ主人公はこういう行動をとったのでしょうか」とか「登場人物のこの時の気持ちをこたえなさい」というものが基本形である。まず「彼は悲しく思った」と書いてあれば「悲しかった」である。しかしこんな問題は出ないだろう。とすれば、ある動作を通じて登場人物は気持ちを表現するのである。例えばH監督がベンチを蹴り上げながら「S,この野郎!!!」と怒鳴る。これが喜びの表現とか悲しみの表現という人も実在するかも知れない。しかし物語文の世界ではこれは怒りの表現である。このように物語文ではその人物の動作は特定の感情に割り当てられている。だからそういう感情を表す動作を押さえればいいのだ。これを押さえるのが日常の観察力であり、日ごろの読書体験だ。マンガでも構わない。マンガが読めれば物語文の攻略は比較的簡単だ。世の中の教師はとかくマンガを馬鹿にする傾向が見受けられるが、マンガを馬鹿にしてはいけない。マンガはもはや文学の一つの形態だ。
「なぜこういう行動をとったのでしょう」という問題に対しては、その直前の事件を見る。何の理由もなく怒り出す人もいるだろうが、特定の感情を惹起するのは、ある一定の事件である。例えばS選手がエラーをした。それを見たH監督が「S、この野郎!!」と怒鳴りながらベンチを蹴り上げた。当然理由はS選手がエラーをしたからだ。そういうことを書けばよい。一見筋がややこしく入り組んでいるように見えるが、常に「事件→感情→動作」という流れを押さえておけば大抵の問題は解けるだろう。あとは「難しい」という先入観を捨てることだ。