国語最下位の人

この前塾内模試の結果が出た。それを検討していて国語の最下位が意外な人だという話だった。授業中ノートは真っ白。友達と話そうとする。それを阻止されるとふてくされてひたすら落書き、または自分の腕を見つめる、またはシャーペンを分解して組み立て直す、などの行動をしているそれまでの国語最下位(理科でも算数でも最下位級)の生徒ではなかった。国語最下位だったのは、現在2組に陥落しているが、1組復帰を狙っている生徒だったのだ。塾の講師の間では「え〜?!」的な受け止め方だったのだが、私は何となくわかった。わかったのは件の生徒が国語の補習に出てきて、マンツーマンに近い形で指導したからだ。何が悪いのか、というと、我流でやっている。真剣に解いているのだが、我流なので遅い。しかもポイントを完全に外している。だから正解にもたどり着けない。こちらがヒントを出してやっても活かせない。この数ヶ月の指導が全く身に付いていないのだ。
その生徒の特徴について塾長に聞いたところ、母親が関わっている、とのことだった。母親が学習の面倒を見てやっているのだ。下から2番目の生徒も同じだった。こちらは1組の生徒だ。しかし国語が悪かった。こちらも母親が勉強を見ているのだそうだ。
考えるに、国語というのは何となく素人でもできそうな気がするのだろう。で、本を読むのが好きな母親が国語くらいならば教えられる、と思って我流の勉強術を子供にやらせるのではないか、と思うのだ。受験算数が特殊技能を要することは知られている話だ。塾に行かずに灘・甲陽・神戸女学院などの一流私立中学に受かるのは絶望的に近い。しかし国語だけならば、何とかなる、という錯覚を覚えるのだろう。しかし現実は違う。受験国語独特のルールがある。それを会得せずに安定した成績を残すのは不可能だ。フロックでいい成績を残すことはある。しかしフロックはフロックだ。突然最下位、ということもある。受験国語のルールを身に付けておけば、最悪の事態は免れる。それどころか安定して高得点を狙える。ルールは何か。それはこれまでここで述べてきているので、参照されたい。一つだけ根本的なことを言っておくと、「解答は本文中にある」ということだ。それも設問部分から遠くないところにある。
困ったことがある。国語はアバウトなところが確かに大きい。だから中学側もルールを弁えない問題を作ることもある。それはまだいいのだが、そもそも誤った知識を出題することもある。大学入試ならば新聞沙汰だが、中学入試は不思議と問題にならない。