ホリエモンの功績を汚してはいかんのではないかと

巨人の渡辺恒雄会長の発言が事実だとしたら、由々しい問題だと思う。堀江貴文ライブドア社長が広島球団の買収をもくろんでいる、という。現在広島は苦しい経営状況にあるのは事実だ。江藤智金本知憲両選手のFA流出は痛すぎる。確かにライブドアが経営に参画すれば広島の経営状況も改善されるだろう。楽天にライバル意識丸出しのライブドアからすれば、楽天のけちけち素人経営に対抗して湯水のように大金を注ぎ込むだろうからだ。
堀江貴文氏が球界のホワイトナイトであったことも間違いない。堀江氏が近鉄買収に動かなければ、2リーグ制は維持できなかったと思う。で、推測だが堀江氏はあの結末で多分満足しているのだ。球団を持つ位の宣伝効果はあった。むしろ田尾安志監督解任で評判を下げた三木谷浩史社長に比べていまだ宣伝効果は持続している。どころか、一銭も球団に金を出さずにこれだけの宣伝効果を上げているのだから、彼我の差は大きいはずだ。
それはともあれ、堀江氏が球界に果たした役割は大きいと思うが、なぜ今回の球界参入への動きを由々しい問題と考えるか、と言えば、今回は明らかに政治がからんでいるからである。武部勤自民党幹事長が背後で動いている、と渡辺氏は言う。おそらく事実だろう。広島6区の亀井静香衆議院議員を落選させるための切り札だ。広島オーナーになって広島を常勝軍団にしてその上で衆議院議員選挙をやれば、広島6区は雪崩を打って自民党に票が入るだろう。亀井氏の政治的生命は終わりだ。
確かにプロ野球という組織自体政治的なものだ。長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督が「社会党が政権をとればプロ野球は消滅する」という趣旨のデマゴギーを主張していたのは有名な話だ。星野仙一阪神タイガースオーナー付きシニアディレクターが森喜朗前首相より出馬要請を受けていたのも、星野氏自身が認めている。私がファンだった長崎啓一(長崎慶二)外野手は今や荒川区自民党区議だし、古葉竹識氏も自民党系で広島市長選に出たはずだ。野球界自体が政治的に保守的であり、多くは自民党の支持基盤となっているのは事実である。
にも関わらず、今回の動きが由々しい問題に映るのは、政局に野球界を巻き込もうとしている点である。血なまぐさい政争に野球界を利用するような暴挙は許してはならない。
ただナベツネの言ってることが本当だと仮定した上での話だが。さらに言えばナベツネ小泉純一郎首相が嫌いらしいし。ということは割り引いた上で、ホリエモンの広島参入をめぐる動きには関心を寄せたい。