政治と塾2

塾の大原則がある。それは公教育の批判をしない、である。と私は塾教育でたたき込まれた。塾によるだろうが、私はそれを守ってきた。塾と学校とは対立関係にあるのではない。塾は学校を補完する存在であって、学校と敵対してはいけない。それが私が塾の研修で言われたことだ。
だから先ほどの問題もおのずから対応は明らかだ。学校に逆らっては行けない。おとなしく学校の言う通りにする。これが左翼的な議論であろうと、逆に『新しい歴史教科書』を使って国家主義的な教育を行おうと、塾では学校を批判しない。もちろん中学受験では学校から外れたこともするし、高校入試クラスでも普段の授業は、こちらのオリジナルを出す。しかし、内申書対策として中学校の定期テスト対策授業では特に学校の授業に逆らうことはできない。
しかし世の中にはマニュアルを無視し、自分の考えを押し付けるバカがいるのだ。私のいた教室では受験産業の雄S学園の元理事が顧問的存在としてきていた。S学園はかなり国家主義的教育を行う事で有名で、その割りに塾生のマナーが最低であることでも有名だ。教育で道徳を強化しても多分効果ないということを示す格好の例だ。人を差別する、いたずらする。人間として最低な塾なのだが、そんな塾を作り上げた人が、私のその授業に文句をつけてきた。左翼的だ、というのだ。マニュアルを読め。事情を考えろ。ここは貴様の偏向した政治的思想を注入する場ではない。学校の社会科教師の偏向した政治的思想を再確認する場なのだ。
もう一つ私が塾のマニュアルで言われたことがある。それは塾の目的は生徒の成績を上げることが目的なのだ。自分の思想を注入する場ではない。なぜ行儀よく道徳的でなければならないのか。それは受験に有利だからだ。人間としての徳の涵養は塾の仕事ではない。それこそ公教育と家庭教育の役割だろう。そこのところがはっきりしていないS学園の道徳教育がほとんど機能しないのは当然なのだ。