マンション偽造問題

周回遅れだが、塾講師としては塾講師の問題をやはりある程度目鼻はつけておきたかった。で、今回は証人喚問の感想。姉歯秀次建築士と篠塚元木村建設東京支店長の証言が矛盾している、という指摘があった。私から見ればそんなに矛盾しているようには見えない。いや、篠塚氏や姉歯氏を弁護しようという気はさらさらない。それどころか、二人は対立しているはずだ。しかし私の目から見てこの二人は同じことを言っている。
姉歯氏は言う。「法律違反という認識はあったはずだ」と。篠塚氏は言う。「法を犯してまでやるとは思っていなかった」と。確かに対立している。しかし篠塚氏は「法を犯せ」とは言っていないのに相違ない。「鉄筋量をこれだけにしろ」とは言っただろう。「出来なければ建築士を変える」という事も言っただろう。そして篠塚氏の要求を満たすには法を犯す以外にやり方はなかったであろう。にも関わらず篠塚氏は「法を犯せ」とは言っていないのだ。
こんなことを書くのは理由がある。今回の図式は、特異な人格による特異な事件ではない、という気がしているからだ。マンションを購入する時に少しばかりかじった知識から得た、手抜きマンションの出来上がる過程が、今回の姉歯氏と篠塚氏のやり取りにそっくりなのだ。同じ図式はどこでもあり得る。今回の事件は、極めて普遍性を持った事件なのだ。