塾講師が生徒を刺殺補遺

週刊ポスト週刊現代の昨日発売号の塾講師生徒刺殺事件の記事を読んできた。基本的に容疑者を「変態」として扱い、読者の興味を煽る内容で、取り立てて書く内容ではない。ただ「へぇ〜」があったので一つ。京進はtmr244氏のコメントにもあったように、生徒の受けを気にしなければならない塾のようである。私の塾で生徒に土産を買ってきたら叱られるだろう。かつていた大手塾でも叱られるような気がする。生徒と教員は友達ではない、一線を引くように、というのが、かつて努めていた塾の研修でうるさく言われたことだからだ。
私が「へぇ〜」と思ったのは、講師が生徒に連絡をすることを京進が禁じている、という記事を見かけたからだ。週刊誌は90%嘘、と三田村邦彦氏が発言していたので、これも嘘かも知れないが、かつていた大手塾では私は生徒に連絡をとっていた。もちろん仕事である。
私のいた塾は「面倒見が良い」というのを売りにしていた。生徒に家に電話をすることは重要な業務だったのである。ノルマがあり、悪徳商法の電話勧誘のように一生懸命電話をしていたものだ。まず欠席したら欠席TEL。折りに触れて保護者連携TEL。記録簿に連携TELの記録を残すので、少ないと注意される。定期テスト前には激励TEL。はっきりいって迷惑なだけだろうと思うのだが、とにかく電話をやらされる。
しかもその電話は割り当てられるのだ。こちらが勝手に選ぶのではない。担当があって、業務として割り振られる。しかし「業務でやっている」ということを知られては行けない。あくまでも教員の個人的な気持ちで電話をしている、という風を装わなければならないのだ。ちなみに小学校の卒業式などの学校行事や受験会場に現われる塾講師もそのたぐいである。割り振りで動くのだ。
ちなみに今いる塾では教員はそもそも電話にも出ない。事務の人に任せる。何せ全員大学に所属する研究者なので、口の聞き方を心得ていない、と思われているのであろう。私は前の塾で研修をしっかり受けているので、人手が足りない時などは電話の応対もするが、それをやると事務のバイト君がかなり慌てる。バイト君よりは口の聞き方は心得ているつもりだが。
塾講師のテンションの高さもそうだが、卒業式に現われ、生徒を祝福するのも仕事だ。テスト前になると電話をするのも仕事だ。だからそこに「特異性」を見出してはいけない。