なぜ「自殺」らしくなく「自殺」するのか

リンク先からたどると、野口英昭氏について首筋を一発で刺せていないから自殺だ、という意見があった。なるほど。あまりうがちすぎた見方はまずいのかな。しかしサッカーシャツはどう説明するんだ?とか。一概には言えないことは事実だ。だからいろいろな憶測が出る。
で、リンク先の方は「軍学者のいうこと」だから納得されたそうで。私は救急隊員の「これだけの傷を自分でつけることができたのかは疑問です」という意見に納得した。それだけのことだ。専門家の悪い癖というのはある。たとえば政治史を専門にしている私は、その背景の政治的背景とこういう事件を結びつけて論じたがる傾向にある。以下は私の専門性のなせるうがちすぎた見方なので、そのつもりで参照いただきたい。
野口氏が仮に「惨殺」されたとして、どうしてそんな「惨殺」をする必要があったのか。そしてなぜ非常用ボタンを押す必要があったのか。これは脅しである。いかにも「自殺」らしい自然な死に方では意味がない。野口氏は「惨殺」されなければならなかった*1堀江容疑者らに「しゃべればこうなるぞ」という無言の圧力である。非常用ボタンを押したのも、少しでも早く堀江容疑者らにその報が届くようにしなければならなかったからだ。野口氏「自殺」の報を聞いた時、堀江容疑者は「もうこれ以上誰も死なないで欲しい」とコメントした、という。そして野口氏の通夜にも出席しなかった。否、出席できなかったのである。ちなみに偽装事件で「自殺」した森田信秀氏もほぼ全裸の水死体として発見され、「自殺」として処理された。これも脅しではないだろうか。どう考えても不自然な「自殺」。それが何もなかったかのように「自殺」として処理される。そこに「闇」がある。
森田氏はともかく、野口氏がライブドア投資事業組合に深く関わっていたことは注目される。鳩山由紀夫民主党幹事長が、自民党議員の関与が見られる、と発言したことは記憶に新しい。その国会議員の名前が昨日発売の「週刊ポスト」で明らかになった。野口氏は安倍晋三氏の後援団体の「安晋会」の理事だったのだ。当然野口氏を介して安倍氏の関係者が投資事業組合に深く関わっていたのだろう。馬淵澄夫議員が「安晋会」の名前を出した途端に安倍氏の顔色が変わったのは、そこが一番触れられたくないからだろう。
そこからいろいろなことがまた妄想できるのだが、これ以上はただの妄想にしかならないので、もう止めておこう。

*1:「傷は頚部の二ヶ所に各五センチ、左手首に五センチ、腹部には七センチの計四ヶ所あり、腹部からは腸が飛び出していました」(救急隊員)