百年の計は人を植うるにあり

トリノオリンピックを観ている。私のような「サヨク」でもオリンピックは観るのだ。オリンピックとワールドカップの間はナショナリストだ。日の丸が揚がり、君が代が演奏されるのを喜色満面で迎えるのだ。いや、ほんと。私はサヨクの巣窟にいるようなものだが、この時期はどいつもこいつも・・・。普段貴様ら「君が代・日の丸反対!!!」とか叫んでいなかったっけ、と嫌みの一つもいいたくなる。しかしやはり金メダルを取ると嬉しくなる。まあ、「反日サヨク」と言ってもこの程度だ。東京ドームの開幕戦で「国歌斉唱」と言われて「六甲颪」を歌った阪神ファン星野仙一監督から叱られたらしいが)の方がよほどラジカルだ。私ももちろん脳みそは筋肉で出来ているのでオリンピックを観ている。ちなみにワールドカップは観ない。阪神戦の方が大事だ。ただ今年は大黒選手が芝刈り機のネタ(ペナルティのワッキーの持ちネタ)をやるそうなので、日本戦を見て、日本を応援しようと思っている。
私も昔はラジカルで、私の周囲の「サヨク」が目じりを下げて日本を応援しているのを「このナショナリストが」と軽蔑していた口(そういいながら私が小学生の一部を過ごしたアメリカを応援していたのだから、どっちもどっち)だが、中継で金メダル獲得の瞬間を見る、という単純な動機でナショナリストの仲間入りをしてしまった、マッスルブレーンだ。ちなみに筋肉質なのは脳みそだけで、体は脂肪だが。
ちなみに私をナショナリストの仲間入りをさせたのは里谷多英選手。だから里谷選手をずっと注目してきた。
もう一人、私をナショナリストに転向させたのは日テレ。フランスワールドカップ三浦知良選手と北沢豪選手が外された時の日テレのバッシング報道はひどかった。街の声で「もう憎たらしい。日本負けろ」というおばはんの声を放送したり、ラモス瑠偉に日本代表とそのサポーターを侮蔑するコメントを出させたり、ととにかくひどかった。さすがに反日売国奴サヨクの私も「これはないだろう」と思って、日本代表を応援した。
98年以降、ナショナリストに転向したのだが、今回、メダルがないのは残念な気がする。
よく言われていることだが、育成の失敗だ。私は岡崎朋美選手も原田雅彦選手もファンなので活躍は嬉しい限りだが、冷静になれば、世代交代が進んで然るべきだろう。いまだに里谷・岡崎・原田頼みの現状に何か問題はないか。結局育成を怠ってきたつけが来た、ということだろう。
こういうどこでも誰でもいいそうなことをここで繰り返しているのは、私にも無関係のことではないからだ。今、じっくりと人材を養成する環境にはない。大学のことだ。任期制と成果主義の導入で、とにかく移動することを余儀なくされる。しかし研究にしても教育にしても数年で出来上がるものではない。「無駄」を切り捨てる「成果主義」「効率主義」では文化は育たない。トリノオリンピックは日本の文化の縮図のように思えてならない。