ホリエモンメール問題

民主党の(自粛)振りは想定の範囲外。このメールが万が一贋者だとしたら取り返しがつかない、というのは素人の私にもわかる問題だ。私にも分かるくらいだから、もう少し社会の波にもまれた人ならばなおさら分かるだろうに。
民主党のとるべき道は一つしかないだろう。代表の辞任である。これ以外に自民党からの攻撃を避ける方法はない。今後も攻撃されるポイントになる。民主党レイムダックだ。二大政党のいずれもがレイムダックになった現状は、つまり日本の政治の機能不全、ということになる。
慶応大学の金子勝氏が昨日の朝日新聞夕刊で次のように述べていた。

いまや報道される政治家の側が、あらかじめメディアの行動パターンを読んで動くようになっている。必要なのは、政策ではなくエンターテインメントなのだ。
しかも野党も、このメディア政治に巻き込まれている。民主党執行部は、小泉「構造改革」路線と政策的違いを打ち出せないためにスキャンダル暴露に走った。戦前の二大政党制がそうだったように。それは政党の存立意義を失わせる。実際ライブドア問題は、武部勤自民党幹事長の次男への資金供与を示す証拠の信憑性に矮小化されてしまった。しかもその失態さえも報道エンターテインメントの一コマにすぎない。このままでは、視聴率獲得競争が政治を支配する論理になってしまうだろう。政党政治は深刻な危機に陥りつつある。

今日の政治の危機については天木直人氏も次のように述べている。

この国は間違いなく深刻で大きな問題にぶち当たります。それは小泉や安倍がどうのこうのという問題ではもはやありません。私の反権力のエネルギーの源は小泉批判でした。なぜならば彼は間違った首相であり、この国を壊す首相であると見抜いていたからです。警鐘を乱打したかったのです。残念ながら彼は分不相応に長い間首相の座にとどまりました。彼の5年間の無責任な政治が、危機に瀕していたこの国を正常にもどせるかどうかのわずかなチャンスさえ奪い、この国の息の根を止めてしまいました。
さすがの小泉首相の任期も残り少なくなり、もはやあと半年、何も出来ないでしょう。パフォーマンスさえ白々しくなっていくでしょう。それがわかっているにもかかわらず、彼は任期をまっとうするでしょう。国民もそれを許すでしょう。ここにこの国の政治の最大の問題があります。それを許すメディア、国民の救いがたき間違いがあります。もっと危機意識を持たなければ為らないのです。過ちを改めるには一日でも、一刻でも無駄にすべきではないのです。もっと真剣にこの国の将来を考えなければならないのです。世界の動きに目を向けなければならないのです。未だに靖国参拝の問題が繰り返し報じられるような日本、拉致され、助けを求めている国民に何も出来ない国が救いようのない異常な国であるということに気づかなければならないのです。
この半年間は今までの5年間以上に重要な時期です。国際情勢も国内問題も、深刻な問題が加速度的に進んでいく半年になります。それにもかかわらず日本の政治もメディアも国民も、何とかしなくてはならないという切迫感が皆無であり、テレビでは深刻なニュースがすべて言いっ放しのワイドショー化となっています。
そういう状況の中で自分は、我々はどうすればいいのか。それはしばし言論を止め、これから起きるであろう激変の世の中を、息を殺して見守る事だと思うのです。そして起きうる大混乱の犠牲者にならないように、巻き込まれないように、各人が自己防衛をはかりつつ、大混乱から生ずるあらたな日本の国づくりに備えてエネルギーを蓄積し己を磨くことです。

もちろんこの天木氏の見方とは異なる見方もできるだろう。日本は改革の成果が出て景気も上向きになっている。♪日本の未来は世界がうらやむ♪となるかもしれない。しかし教育をめぐる現状を見る限り、楽観視はできない。
たとえば、大学一つ取って見ても、任期制の導入に伴う大学教員の地位の不安定さは目先の「成果」に走らせる。基礎学問の軽視は、日本の技術の裾野の崩壊をともなうであろう。技術を失った日本に国際競争力はあるだろうか。ジャパンバッシングジャパンパッシングになり、ジャパンナッシングと言われるようになっている。
アシストのビル・トッテン氏は次のように言うビル・トッテン関連情報 | アシスト

私が日本に来た38年前、日本は“お互い様”を実践し、皆同じ船に乗っているような国だった。それが今は国会答弁で首相が「格差が出るのは別に悪いこととは思っていない」と言うような国になってしまった。小泉内閣の推し進める改革とは「弱肉強食」の促進であり、したがって格差がでるのは当然の帰結なのである。同じ条件のもとでの競争なら理屈としてはいいかもしれない。しかし二世、三世の政治家は公平な競争をしてはいない。
このような国になったのも、「主」である民がすべきことをしていないからだと思っている。自分がすべきことをやり、それでもだめなら責任転嫁ができるが、何もしていないのだから今日のような状態になってしまった。

ここで言う「今日のような状態」とは

首相就任五年で失業者数、失業率、自己破産といった社会の負の統計は急増し、年間三万人以上の自殺者がでている。ホームレスも生活保護受給世帯数も増加をたどる。

という状況のことであろうビル・トッテン関連情報 | アシスト
中には、富裕層の景気が回復すれば回り回って貧困層にも金が回ってくる、と考えている人もいるようだが、それは幻想である。あるいは機会の平等が保証されれば、自分も競争に参加できると思い込んでいる人々がいる。そういう人々がおそらく現在の格差社会を肯定するのだろう。しかし前にも言ったが、機会の平等ということは、幼少期から塾にいかせることのできる家庭の子ども有利、ということである。学歴を身に付けるのに生まれつきの才能は実は必要ない。学歴社会に適応したテクニックを身に付ければいいだけなのだ。それを効率的に身に付けられるだけの環境にある人と、そういう環境にない人を「機会の平等だ」ということで同じスタートラインに付けたら、どうなるかは火を見るよりも明らかである。再びいやなことを言うが、私の塾に来る生徒の半分近くは外車で送り迎えに来る家である。さらに言えば、同じクラスに同じ小学校の子どもが集まる傾向がある。
さらにビル・トッテンは次のように述べる。

私は民営化と規制緩和には当初から反対だった。日本経済が沈み始めたのは平成9年あたりだが今でも平成8年の規模に戻っていない。では平成9年に何が起きたかというと、金融ビッグバンである。それ以前、日本の銀行に預けたお金は日本国内で使われていた。預金が国内に流れれば経済は循環するがビッグバンで海外に出すことが可能になってから215兆円のお金が海外に流出した。つまり預金額は62兆円増えたが、銀行の国内貸出は153兆円減り、合計で約215兆円が国内から海外に流出したとみられる。日本経済がおかしくなるのも無理はない。
米国のために行ったビッグバンは売国奴的政策だった。日本の金利が海外より高ければ流出しないが、ビッグバン以降日銀はずっとゼロ金利に近く、常に米国より低い金利を設定している。一体日銀は誰に奉仕しているのだろう。日銀の株主を調べたが日本政府が55%で、残りの45%の株主を日銀は公開していない。これではロスチャイルドや米国政府が株主だと噂されてもしかたがない。疑われないためには株主を公表すればよい。大株主がアメリカの政府や財界であれば日銀の政策はきわめてわかりやすいからだ。
社会という漢字を逆にすると会社である。消費税増税を主張する政府やマスコミは、増える「社会」福祉のためにと言う。しかしそれも嘘である。「会社」福祉のための増税だ。政治献金を提供するのは企業であり、メディアの広告主も企業である。大切なのは「会社」である。これを裏付けるデータがある。消費税が導入された1989年から昨年12月末までに消費税税収は総額120兆円だった。同時期、法人税は減税され、その減税額は合計で107兆円にのぼる。つまり政府の税収は消費税が120兆円増え、法人税が107兆円減った。政府は会社に奉仕しているのだ。
(中略)
法人税減税といったが大きな恩恵を受けているのは一部の企業である。日本には約260万社があるが、その99.99%は中小企業で、法人税が激減したのは0.01%にあたる206社、連結決算を適用している大企業だ。99.99%の企業の平均売上げは年間5億円だが、206社の平均売上げは約2500億円と500倍の企業である。国に税金も払えないほど効率の悪い企業に存在価値があるだろうか。私はこれは脱税に等しい行為だと思う。もちろん、国が合法とする連結決算は脱税ではない。しかしそれでも道義的には脱税と同じだと思う。なぜなら自分は社会のさまざまなインフラを利用して利益を手にしながら、その税負担を他の人に押し付けて税金を払わないからである。連結決算は小泉首相から経団連への贈り物だと言われるのも当然であろう。

これを裏付ける資料はアシストのサイト内にある、という。「私が今言ったことは政府のデータをもとに話している。弊社のWebサイトに私が使った統計データを掲載しているのでお時間のあるときにでもぜひ見て欲しい。この国がどうなっているのか、自分の時間を国のために費やそうと思えばいくらでもデータは公開されている。あとは調べてみようと思うかどうかだ。格差が増えることは悪くないと開きなおる小泉首相がどのような政策をとっているのか自分で確かめて欲しい」ビル・トッテン関連情報 | アシストトッテンは言う。
で、見て見ました。うーむ、よく分からんOTL。
そう言えば贈与税改革は不動産業界に対する小泉総理の贈り物と言われたな。それで家を買った私としてはいささか複雑なものがあるな。小泉総理、ありがとうございます、と言わなければならないようだ。