阪急電鉄

おぼえてい〜ます〜か(飯島真理「愛、覚えていますか」)。飯島真理は高校時代の片思いの娘に似ていたので、少し想い出風に。もちろん飯島真理を覚えていますか、とか、リン・ミンメイ*1を、とかではなく、神戸電鉄脱線事故。死傷者ゼロなんで大きく取り上げられない。しかしこれも放置できない問題を孕んでいたりするので、ここで考察したい。
脱線の原因はポイントの摩耗。ようするにけちっていた、といわれても仕方があるまい。神戸電鉄は社長の交代と10億円かけた安全対策を行なうこととした、ということらしい。「らしい」というのは、私はこの問題を詳しくは知らないため、他人のふんどしで相撲を取っているからである。そのサイトをリンクするのは控える。リンク先は匿名になっている。かなり微に入り細をうがった告発であり、ご本人も「保身のため」としてK電鉄としているからだ。
問題は山間部を走るためにもともと経費のかかる鉄道なのに、親会社の阪急電鉄が様々な締めつけを行なって、投資を抑制していることにあるようだ。社員の残業禁止にはじまって、新車投入の抑制などを行なう。ワンマン化など経費削減につながる改造は行なう。その結果、現場にひずみが生じているのだという。
阪急電鉄バブル崩壊で膨大な有利子債務をかかえ、その償却に非常に苦しんでいる。さらに阪神大震災の後遺症、乗客の減少などにより苦しい経営が続いている。新車投入の抑制は神戸電鉄に限ったことではない。阪急電鉄自体も95年を最後に長らく新車投入が抑制された。しかし神戸電鉄が苦しいのは、阪急電鉄の連結決算対象会社になったために、赤字抑制は至上命題となる。その結果、神戸電鉄ではかなり現場にしわよせが行った、というのが実情のようだ。小泉政権から財界へのプレゼントと言われる連結決算で、グループ全体の赤字抑制のために身を削っている、これが神戸電鉄の背負わされた運命なのだろう。
もう一つの問題は阪急電鉄の現在の方向性にある。「かつて、関西私鉄王国のイメージリーダーだった阪急電鉄は、今や、私鉄各社を巻き込んだ金融コンツェルンを構築する事に必死になっている、堕落しきった会社になってしまっている」と評されるが、実際消費者金融会社の買収に始まって、カード会社を巻き込んで、ピタパやHANAプラスなどカードによる金融コンツェルンを構築するために血道を上げている。そのために神戸電鉄への締めつけが進んでいるのだ。持ち株会社方式になった。これはアメリカ式経営の導入だ。経営者は社外からやってくる。彼等は多くの会社の経営を渡り歩き、従業員とはそもそも生きる世界が違う。アメリカの会社経営はそういうものだ。アメリカが「平等」な社会などとは嘘である。アメリカには確固たる階層社会がある。それは再生産されているのだ。よく「機会の平等」という人がいるが、再生産理論を少し紐解けば、そのような言説は虚構であることがよく理解できる。
それはともかく、阪急電鉄が「電鉄業」から遊離した金融会社になりつつあることが、神戸電鉄のはらむ問題に大きくからんでいるし、また阪急電鉄自体の弱体化にも関係があるだろう。
実際、ダイヤが明らかに利用者よりも車両の効率的な運用を優先して作られているのは、27年間、毎日のように利用していると、体感できる。車両もきしんでいるし、特に6430の連結器の不快音は治らないのか、と思う。飯島真理iPodで大音量で聴くしかないではないか。

*1:超時空要塞マクロスは見たことがない。私にとってのアニメは宇宙戦艦ヤマトとがんばれタブチ君だ。