ある日突然ファシズムはやって来る1

今から18年前、私のいた大学では不思議な動きがあった。創設者はいるのに、さらに「学祖」なるものを祭り上げ始めたのだ。「学祖」と言っても、その人は確かに私塾「(自粛)」というのを創設して、後にその秘書だった創設者がその私塾の名前を引き継いだ、というのは事実だが、それだけの関係の人を「学祖」というのはそもそも変な話だ。もっと変なのはその人は別の大学を創設しているのだ。その大学に失礼ではないのか、と私は思った。しかし(自粛)大学生の中にはそれではしゃいでいる人もいた。無邪気なものだ。ニセの栄光の歴史を見せてもらって喜んでいるのか。まあ愛校心を持つことは悪いことではない。しかしニセの歴史によって発揚される愛校心には問題が多い。それは本当の愛校心ではない。本当の愛校心とは過去の汚点も直視した上で、それでも我が母校を愛する心である。過去の汚点の歴史を隠ぺいし、あまつさえニセの歴史を作り上げてまで発揚する愛校心とは何なのか。
当時の私はまだ認識が甘かった。その時思ったのは上記の程度のことで、大学側の意図には気付かなかったのだ。ただ単に「あほくさ」と思っていたに過ぎなかった。実は大学側にとってニセの歴史を紡ぎ出してでも行わなければならない事情があったのだ。次回はその動きを私が直接体験した事実から検証する。