沖縄集団自決問題に関する安倍晋三総理と菅直人議員の論戦について

4月20日、教育再生特別委員会における安倍晋三総理と菅直人議員との論戦について、安倍氏は支離滅裂とか、菅氏は支離滅裂だとか、印象批評を繰り返しても意味がない。「私は安倍氏の論理はめちゃくちゃだと思う」と論拠なしに思っていることを言われても「私はそう思わない」で終わりである。安倍氏と菅氏が何を言っているのかを具体的に検証したうえで、批評と言うのはなされねばならない。
この問題について衆議院TVに動画があるので、それを踏まえたうえで、批評を行いたい。
まず伊吹文部科学大臣の検定制度に対する発言である。

家永裁判以降の検定のあり方と言うのは、客観的な専門家の教科書に対する調査によって両論があることを一方だけ書く、ということはやらない、と。あるいは自分のイズムをもって書く、というのは認めない。ですから客観的な事実になっているかだけをやっている

集団自決に関して軍の関与がなかったとは書いていないわけですよ。あった、ということに関しては色々の説があるから、そこのところは中立的な記述にする、ということだけであって、あった、とか、全くなかったとか、そういうことは一切書かれていない、と。そういう議論がなされていたというわけであります。

それに対する菅氏の質疑。

4年前の検定では軍の命令、というものが記述されていて、今回それが検定で意見が付されて、そして修正された、と。それが間違いないとすれば、前回と今回とどういう根拠でそれが判断が変わったのですか。

伊吹大臣

そうではないんだという、裁判を起こされている方もあり、その裁判の中で両方のご意見があった、と。だから一方に偏った記述をするということは避けるべきだという検定意見があったということでございます。

菅議員

そこが大変問題なんですよね。この問題に対していろんな方がコメントされていますが、比較的まさに中立的とされている立場でコメントされているなかで、沖縄の新しい知事がコメントされてますよね。個人的にはちょっと疑義を感じる、と。つまり当時の全体状況から判断すべきではないか、仲井間知事はこう言われている。当時の客観状況つまり昭和20年の3月、米軍が上陸してきた時点で、沖縄は完全な軍政下にありました。そして軍・官・民共生共死つまり軍人と官僚と民間人は共に生き、ともに死ぬ、そういう考え方が徹底されておりました。そして当時の、まあ辞めておられますが陸軍大将であった東条英機大将が戦陣訓の中で「生きて虜囚の辱めをうけるな」このことを軍人に対して徹底していた時代であります。また、自決された多くの方は手りゅう弾によって自決されております。その手りゅう弾は軍が持っていたものが何らかの理由によって人々に渡され、それによって自決されております。それ以外の手段の方もいらっしゃいますが、どれで自決をされております。こういう全体状況から見れば、軍政下にあって共生共死なんだ、徹底抗戦なんだ、玉砕なんだというもとで軍から最終的に配られた手りゅう弾で命を落とす、自決をされた、これが軍の命令、あるいは軍の指示によるものでないと、なぜ言えるんですか。一つの裁判が行われているのは知っています。まだ結論は出ておりません。またその裁判は個別のある軍人が何を言ったかの議論であることは聞いておりますけど、この沖縄の集団自決の問題は裁判になった地域もありますけど裁判になっていない地域でもかなりの規模で起きたと言われておりました。そう考えるとイズムに影響されるべきではない、総理もそう言われ、伊吹大臣も言われますが、このことを推し進めたグループは確か自由主義史観研究会という方が一生懸命だと思うんですが、総理この代表の藤岡さんという方はご存知なんじゃないでしょうか。

安倍総理

まあ、知っていることと、それは全く関係ないじゃないですか、誰を知っているかということを一々この委員会で私が答える、何の意味があるんですか?この教育3法案と。

菅議員

総理がキレやすいのは知っておりましたが、中山さん、今日午前中に質疑されましたよね、従軍慰安婦について。この問題を取り上げている中心的なグループの教科書をつくる会の副会長でまた、今申し上げた自由主義史観研究会の代表で、その方は何度か中山さんやあるいは中川政調会長にいろいろと陳情されているので、一つのですね、イズムを持った方だと思うんですよ。それが悪いことだと言っているんではないですよ。問題なのはしきりに伊吹大臣あるいは安倍総理までもがイズムに左右されない、バランスだと言われるから、バランスがとれた判断がされているんですか、ということがお聞きしたくて、総理、こういう方をご存知ですか、と言った途端に何でそんなにキレなくてはならないんですか。

長くなるので今日はここまでの議論をアップ。もう少し見たいので続きと論評は後日。