近衛基平

今、近衛基平に凝っている。モンゴル戦争における朝幕の立場の決定に大きな影響を及ぼした人である。大河ドラマでは宮内淳士演じる近衛基平がモンゴルへの返書を断固拒否し、亀山天皇の御前で自害し、渡部篤郎演ずる北条時輔介錯され、時輔の胸の中で息絶える。折しも日食、時輔は「闇じゃ、何もかもが闇じゃ」とつぶやく、一つのハイライトシーンであるが、実際の基平はどうも肥満だったようだ。『中世政治社会思想』下に収められている「正元二年院落書」には「内府ニシシアリ」と書かれている。「シシ」とは肉のこと。「しし付く」は太ること。「しし削ぐ」はやせること(『時代別国語辞典』室町時代編)。「ししあり」とは太っている、ということ。校注者の佐藤進一氏は「肥満の意であろうか」としている。