著作権

数年前の話。五月ごろに教材の差し替えという事態が起こったことがある。使っていた教材の題材に一部著作権をクリアしていないものがあったらしい。教材会社から連絡があり、新しい教材を送るので、今まで使っていた教材を破棄してくれ、というのだ。著作権者とどういう話し合いがあったのか知らないが、今までの教材を破棄もしくは回収するということで決着がついたのであろうか。新しい教材の到着をまって、以前の教材は使わないことにした。著作権団体が受験産業著作権問題での関与を強めた頃だ。だから最近一部の受験産業著作権団体から訴えられた、という記事を見ると、まだやってなかったのか、という印象を持つ。
ただあの経緯からみて、昔は著作権など全く顧みてはいなかったのだろう。というより「教育目的」ということで、著作権はクリアできると踏んでいたのだろう。問題化され、教材会社はただちに反応したのだ。
教材会社の対応としては、著作権団体に著作権料を支払うことで、現在使っている教科書を使い続ける選択肢もあったはずだ。しかし実際に教材会社が選んだのは、該当する作家を外して、著作権をクリアした作家を載せた新たな教材を作ることだった。つまり特定の著作権団体に著作権料を支払うよりも、特定の著作権団体に所属する作家を外し、その著作権団体に属さない作家に著作権料を払った上で、その作家の作品を載せた教材を新たに作って、特定の著作権団体に属する作家の作品が収載された教材を破棄した方がコストがかからないのだろう。