消費税

ビル・トッテン氏の発言(「ビル・トッテン関連情報 | アシスト」)。

最も声を大にして言いたいことは、繰り返し書いているが、民主主義国家において国民は、政府や政治家や政党をしっかりと選び、監視する義務がある、というものだ。自分が選挙に行かないか、または何も考えずに投票しておきながら、その政府が次々と国民を分断させる、つまり貧富の格差を大きく広げる政策をとっていると、泣き言を言うだけではあまりにも無責任だ。
例えば、2006年の一般会計決算で、国税収入が49.1兆円程度と、税収が予想より少なく補正予算の見積額に約1.4兆円足りなかったという。当然である。所得税が見積もりより5千億円少なかったのは、高額所得者が減税の恩恵を受けたからだ。一般の勤労者ではなく富裕層のための政策を次々と推進する安倍政権の政策の一つである証券優遇税制では、上場株式の売却益と配当の税率が20%から10%に引き下げられた。だから税収が減少したのだ。消費税は予想通りだったから、現与党政権のままだと、次は減った所得税法人税の分を消費税増税で補てんしようとなるだろうことは、火を見るより明らかである。

これもおそらく安倍氏がテレビ番組で消費税に言及した背景だろう。しかしすぐに撤回した。その背景にはkechack氏の次の指摘(「2007-07-14」)があてはまるのだろう。

財界にとって非常に嫌な政治状況になってきた。一つは自民党の敗北濃厚な参院選の状況だが、さらに深刻なのは自民党が財界寄りの政策そっちのけで有権者受けするリップサービスに走ったことである。
ホワイトカラーエグゼンプションも視野に、極めて財界寄りネオリベ的な労働政策を邁進してきた安倍政権であるが、もはや国民受けを優先せざるを得ない状況である。

民主党自民党がかつてネオリベ合戦を演じた結果、法人税や高額所得者が減税の恩恵を受け、その結果税収が減少し、国家財政が厳しくなった。それを高額所得者や財界のみならず、国民みんなで何とかしよう、というのが、そもそも虫が良すぎるのだろう。
しかし法人税を下げないと、国際競争に勝ち残れない。こういう主張もある。国際競争力に勝ち抜くために国民生活を犠牲にする。しかしその「国際競争力」とは何なのか。
昨日言及したひこばえ通信の大野和興氏の記事は次のように指摘する(「ひこばえ通信」)。

いま日本で最大の社会問題となっている若者を中心とする非正規労働者ワーキングプアーの増大もまた、その根っ子のところにあるのは地球規模の市場競争である。競争に勝つため、企業は生産コストをぎりぎりまで削る。真っ先にやりだまにあがるのが人件費である。ここでも最低限度の生活さえ壊され、ネットカフェ難民といわれる新たなホームレスを生み出すまでに事態は進んでいる。

地球規模の市場競争、すなわちグローバリズムに勝ち抜くことの意味を考える必要があるだろう。そもそもグローバリズムという地球規模の市場競争が、なぜ出てきたのか、そこで勝ち抜く、ということは何を意味するのか、そもそも何のためにグローバリズムは存在するのか。少し勉強してみたいと思う。