ウナギ

中国産のウナギが問題になっている。本来中国産のウナギであるヨーロッパウナギは、日本産のウナギであるニホンウナギよりも弱いので、過密飼育が出来ない。日本のウナギは極度に過密飼育され、かなり状態が悪いと聞き及ぶ。それでも耐えられるのだ。(この部分は関係者にご迷惑をかけるかも知れず、一旦削除します。)ヨーロッパウナギは過密飼育ができず、そのため山間部の水のきれいなところで、ゆったりと飼われているらしい。日本でもしらすうなぎ(ウナギの幼生)の入手難からヨーロッパウナギの導入が検討されたが、日本の養殖条件では、到底飼えないらしい。というわけで、ヨーロッパウナギの導入が見送られた経緯がある。
問題は少し寒冷な地域で行なわれるウナギ養殖である。ハウスなどの保温設備に資金がかかるために、コストを抑えるには過密飼育にする必要がある。観賞魚でもそうだが、過密にすると、特に弱いヨーロッパウナギにはダメージが出やすい。ミズカビ病が出る、と行っていたが、その時に何でも効く薬として使われるのがマラカイトグリーンである。マラカイトグリーンアクアリウムの世界ではごく普通に使われている魚病薬で、ショップで簡単に手に入る。ただ発ガン性があるために、使わないように主張する人もいるが、
他に観賞魚で、今でも使われる薬品で、養殖でも使われ、問題になった薬品に、えら病に効くホルマリン、エロモナス病やカラムナリス病に効く抗生物質がある。
環境に敏感と言われるノルウェーでもサーモンの養殖ではかなり問題があると言われる。養殖でコストを安くするためにはぎりぎりまで過密飼育する必要がある。やはり薬の問題がある。サケの独特の色は後天的なものである。天然物であれば、甲殻類を食べることで、あの色が出てくるのだが、養殖物の場合、色素を餌に混ぜ込んであの色を出す。
養殖では例えばハマチを1キロ太らせるのに、7〜8キロのイワシを使うという。そもそも非効率的なものなのだ。最近ではイワシ之漁獲高が減少しているので、配合飼料を与えているが、基本はアクアリウムをやっている人ならばわかるだろうが、フィッシュミールを中心に小麦粉やビール酵母などを混ぜ、そこにビタミン剤などで栄養を強化している。問題はフィッシュミールである。フィッシュミールとは、イワシなどのミンチだが、そこに含まれる油の酸化が問題になる。そこで酸化防止剤を入れる。カビも怖い。そこで防かび剤を入れる。
養殖でコストを下げようとすれば、どうしても過密飼育になる。過密飼育すると病気が出る。餌もコストを下げるために様々な薬剤が含まれた餌を使う。養殖そのものがかなりリスク要因なのである。
養殖にネガティブなことばかりを述べてきたが、コストがかかるのを承知で粗放飼育を行う養殖もある。かなりコストはかかる。私が食べているウナギは養殖物だが一匹1500円前後。だからめったに食べないが、たまのぜいたくとして食べている。本来ぜいたく品を安くで食べよう、というところに問題が起こるのだ。
まあ中国産ウナギはCITESでかなりの打撃を受けるだろうが、あとはしらすうなぎの乱獲が怖い。ウナギは卵からの養殖が出来ず、しらすうなぎの捕獲で成り立っている。ハマチもモジャコと言われる稚魚の捕獲から始まるそうで、いずれにしても、養殖が盛んになる、ということは、野生のウナギやブリの現象につながる、というパラドックスも抱えている。「養殖=環境保護」とはいかない、という現状だけは認識した方がいいのかも知れない。
追記:養殖=危険と考えているわけでは決してない。安ければいいという風潮こそ問題で、私の本旨は「本来ぜいたく品を安くで食べよう、というところに問題が起こる」というところにつきる。中国産でも国産でも安全であればそれに越したことはない、という考えである。中国産=危険と等し並に考えているわけでもないことも追記しておく。