備忘録

安倍続投の舞台裏(「http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070804-00000013-mai-pol」)。
リンク切れ対策として。

参院選の与党惨敗が濃厚となった先月29日夕刻、自民党の実力者たちは、首相・安倍晋三の退陣を想定して、元官房長官福田康夫を後継首相に擁立する構想を具体的に話し合っていた。国会に近いグランドプリンスホテル赤坂の一室に、元首相・森喜朗参院議員会長・青木幹雄、幹事長・中川秀直の3人が顔をそろえた席でのことだ。
 冒頭、選挙の総責任者である中川は「私の不徳の致すところです。申しわけございません」と2人に深々と頭を下げた。参院自民党、とりわけ手塩にかけた参院津島派が壊滅状態になった青木は、吹っ切れたように「森さん、私もこれで楽になります。高みの見物でもして過ごしましょう」と乾いた声で笑った。
 「責任をとって幹事長を辞めます」と中川。青木も「私も同じだよ」と同調した。3人の関心は安倍の進退の1点に絞られた。前日の28日夜、安倍は森の携帯電話に「今後も続けるつもりです」と伝えていたからだ。森は賛成も反対もせず、返答を保留していた。
 3人は自民党の獲得議席を「40台中盤」「40台前半」「30台」と三つのケースに分け、「30台なら退陣は避けられない」との結論で一致した。青木は「安倍君はまだ若い。今、辞めれば次のチャンスが生まれるかもしれない」と言った。
 「じゃあ、それなら誰がいいのかなあ」。3人が異口同音に口にしたのは、「福田首相」による次期衆院選までの選挙管理内閣構想だった。「彼なら落ち着いているし、安定感がある」。ただし、福田は71歳。福田を評価する森らも、あくまで「暫定的な緊急避難措置」と考えていた。
 「アルツハイマー」発言でミソをつけたものの、外相・麻生太郎だけは、党内に「ポスト安倍」の人材が枯渇するなか、温存しておかなければならない――。それが3人の共通意見だった。
 協議を踏まえ、森は「じゃあ、今晩中におれが福田さんに会おうか」と言った。ただ、その前に首相が当日夜のテレビ出演で、進退についてどう語るか確認しておくことも必要だった。
 森と青木は、中川に首相公邸に出向いて、安倍の意思を聞いてくるように求めたが、中川は「いや、記者もいっぱいいますし」と尻込みした。森は「幹事長が総理に会うのは、誰も不思議に思わないよ」と中川の背中を強く押した。その場から首相公邸にアポイントメントの電話を入れた中川は、電話を切った後「総理は麻生さんと会っているようです」と、森と青木に告げた。
 午後6時前、麻生と入れ替わるように首相公邸に入った中川に、安倍は「結果がいかなるケースであろうと、解散のない参院選で、政権選択が行われることはあるべきではない」と続投への強い意思を伝えた。「ポスト安倍」は安倍という強烈な意思表示だった。
 「続けるのも地獄、引くのも地獄、いばらの道ですね」と中川。会談後、中川は森に「我々が考えていたのとは全然違う雰囲気です。総理は続けるつもりです」と伝えた。安倍も森に電話し「辞めません。続けるつもりです」と通告。森も「わかった」とのむしかなかった。安倍は周囲に「こんな状況で続けるのはきつい。でもどんな結果になってもやる」と漏らした。この瞬間、「福田選挙管理内閣」構想は幻に終わった。(敬称略)

追記
安倍続投舞台裏ゲンダイネット版(「ニフティニュース(@niftyニュース)」)。
同じくリンク切れ対策として。

日本中が呆れた安倍首相の続投はどう決まったのか。だれとだれが決めたのか。「密室談合」の裏側が見えてきた。
29日の参院選・投開票日。マスコミの出口調査自民大敗が分かってきた午後4時40分すぎ、麻生外相が永田町の首相公邸に裏口から入った。公用車でなく、報道陣に見つからないよう、官邸が差し向けたワンボックスカーだった。
「公邸で待ち構えていた安倍は、“このままでは辞められない。続投を支えてほしい”と麻生に懇願したそうです。麻生は即座に全面協力を約束した。麻生が反旗を翻さなければ、党内で政局はあり得ない。この時点で安倍続投が決まった。同時に麻生の幹事長就任と、次期総裁選での麻生支持も決まった。両者の利害が一致したのです」(政界事情通)
同じ頃、赤坂プリンスホテルでは森元首相、青木参院議員会長、中川幹事長が密談していた。森が総理の意向と「続投支持」の気持ちを伝え、青木、中川もこれを了承した。
●「総理は瀕死なほど操りやすい」と…
「森は、総理はだれでもいい。自分がどれだけ影響力を維持できるかどうか。麻生よりは安倍の方が近いし、死に体となる安倍はさらに操りやすくなるという計算です。青木にしても、仲間の惨敗で動きようがないし、続投支持で少しでも安倍に恩を売っておけば、内閣改造参院から大臣を送り込めると考えたわけです」(関係者)
5時40分すぎ、中川が麻生と入れ違いで公邸に入り、3者会談の結果を安倍に伝えた。これで続投の流れは決まったのである。
各派の幹部には町村派会長から連絡が入り、谷垣派を除く各派もこれを了承した。ただちに安倍は下村官房副長官に「続投」を連絡、それが報道陣に流されたころには党内調整は終わっていた。報道陣が各派議員を回っても、「内閣改造で人心一新が大事だ」といった安倍続投容認論しか出なかったのもうなずける。
7年前、小渕首相急死を受けて、森が後継総理になったときは、森、青木に加え、野中広務村上正邦亀井静香の5人の密談で総理が決められた。あれに倣って、今回は「新5人組談合」と呼ばれ始めている。7年前の森内閣は「密室談合」批判でスタートから低空飛行を続けて墜落したが、安倍談合続投も同じ運命をたどっている。