亀井静香氏の主張

国民新党はそんなに好きな政党ではないし、亀井静香代表代行もそんなに好きな政治家でもないし、この文章のネタ元(「http://yamamotot.iza.ne.jp/blog/entry/249663/」)の新聞社も好きではないが、備忘録として。こういうブログを記者に書かせているこの新聞社は懐が広いのかも、と思う。
ここに引用させていただくにあたって、聴衆の反応はカットした。これは安倍総理の場合と同じで、聴衆には当然動員がかかっているし、動員された支持者は盛り上がるのが必然だからだ。

「東京のみなさん、日本国の、日本じゅうのみなさん、いよいよ来ましたよ、日本の夜明けっ!!間違えなくきましたよおおお!!!自民党公明党なんて、明日でおしまいだっ、みなさん!!!!!!」
「自公もおわりました。わたしゃ、昨日まで島根鳥取、日本中をかけずりまわりましたが、地方では反乱が起きたんですよ、反乱が!こんな、こんな政治にがまんできないっ!!自分たちを(私たち国民を)人間と思っているのか!こういう、怒りが全国で盛り上がっている。東京のみなさんも一緒に反乱をおこそうじゃないですかっ!」
「われわれは、暴動ではなくて、選挙で変えることができるんですよ、日本を!わが国民新党抵抗勢力といわれてきたが、われわれは誇りに思っている。洋の東西を問わず、時代をかえていったのは抵抗勢力じゃないですか、みなさん!!!この日本でも、60数年前、東条内閣が翼賛体制をやり、日本を悲劇的な状況にもっていった。あのとき、抵抗勢力がいたじゃないですか!!鳩山一郎であり、三木武吉中野正剛ですよ、あの3人が座っておられた(衆院の座席の)所に、国民新党が座っている。私が座っている席は、中野正剛が座っていた椅子だ!!中野正剛は腹を掻っ切りましたが、われわれはそんなことはしませんよ、自民党を倒すんですよ!日本の夜明けを、みなさんと一緒に迎えるんですよ!」
「郵政(民営化)見直し、地方重視、年金増額、当たり前でしょう!!6万6000円で老後の生活できるんですか、お年寄りが!!!世界の人たちに(日本は)毎年1兆円配っている。困っている人を助けるのは当然。しかし、日本で体の不自由な人やお年寄り、一生懸命生きていてもどうにもらないような人を救うのが前提ではないか」
「大企業は史上最高の利益をあげている。社員に配っているんですか?配ってないでしょ。だからみなさんのところにまわってこない。小泉改革になってこれが始まった。日本型資本主義が制圧されて、アメリカ型資本主義にこの6年間でガラっと変わったから、いざなぎ景気(のような今の景気)でも、みなさん方の懐には来ないんです!!!」
「大企業や金持ちには税金をまけて、この5年間でいったいいくら企業に税金をまけたのか、20兆円ですよ!!庶民に公明党は何をやったのか。庶民の味方といいながら、自民党と一緒に何をやってきたのか!!税金が上がったんですよ!!」
「秋には、(自公政権が)消費税に取り組もうとしている。金のある人たちからは税金はとらない、庶民からとる、みなさんが怒らないから。こんな自公政権、許せますか!!」
「やりましょうよ、怒りを爆発させましょう。今からみなさん方も年をとる。今の自公政権に年金をまかせていいのか。(台帳が)灰になっていたかもしれない、そんなことを前提にして年金をちゃんとできるのか(自公政権は)。1年で調査できるのか、(自公政権は)できるわけがない、できぬことを、できるといって参院選を乗り切ろうとしている。悪いのは政府だ、四の五の言わずに政府はだまって(年金を)支給すればいい!!!」
「ちゃんと払っていない人も紛れていると言うが、生活保護を受けている方々は掛け金をかけているのか。かけていないでしょ。困っている人をちゃんとする、そのために国があるのだ」
日銀総裁のように、年収5000万円もある人間が、年金を800万円もらう必要はない。道楽息子しかいない、やさしい嫁もおらん、年をとる、どうしようか、いまさら生活費を稼ぐわけにはいかない。そういう人のためにちゃんと年金を支給するのはあたりまえだ。だから、わが党は税金で年金をやる。われわれはきわめて現実的な、実行可能な日本の未来を設計している」
「魂を取り戻しましょうよ。拝金主義がはびこり、家庭の中でも競争競争。こういう社会から決別しようではないか!!抵抗勢力に気合の一票を!!勝ち抜きましょう、夜明けはすぐ目の前です、東京でも反乱をおこしましょう!!!!」

細かい考察はまたあとで。一応少し書いておけば、「共産党のような主張も随所にみられる」と感想にあるが、亀井氏は共産党にかなりシンパシーを感じているところがあるようだ。大学生の頃はマルクスにはまったそうだし、政治家になってからも「天皇制を認めてくれれば共産党が一番いいこと言っているんだが」と言っていたのだから、決して不思議ではない。国民新党の政策がケインズ主義に傾斜している(「http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20070805#p1」)のも、その点に原因があるのかも、とは思う。
追記
年金問題の一つの問題点がここに表されている。年金の争点は「消えた年金」などでは本来ないはずで、選挙民もそのことを重々わかっているのではないか、と私は思っている。以前にも書いたが、誰も安倍政権が年金をかすめた、などと思っていないし、それは自民党政権がかすめた、とも思っていないだろう。にもかかわらず「消えた年金」問題に限らず、年金問題における与党自民党側の問題点を亀井氏の演説は抉り出しているのだ。
消えた年金」問題における政府・与党の「責任」と言えば、「(台帳が)灰になっていたかもしれない、そんなことを前提にして年金をちゃんとできるのか。1年で調査できるのか、できるわけがない、できぬことを、できるといって参院選を乗り切ろうとしている。」というところに現れている。参院戦に向けて「実績」を積み重ねたくて、強行採決を繰り返した安倍政権の対応は、とても真剣に年金問題に取り組んでいるようには見えなかったのである。実際に真剣に取り組んでいた、としても、「できぬことを、できるといって参院選を乗り切ろうとしている」ようにしか見えなかった。安倍政権が年金に対する取り組みをアピールすればするほど、「できぬことを、できるといって参院選を乗り切ろうとしている」ようにしか見えない、というジレンマにはまってしまったのだ。
亀井氏の「日銀総裁のように、年収5000万円もある人間が、年金を800万円もらう必要はない。道楽息子しかいない、やさしい嫁もおらん、年をとる、どうしようか、いまさら生活費を稼ぐわけにはいかない。そういう人のためにちゃんと年金を支給するのはあたりまえだ。だから、わが党は税金で年金をやる。われわれはきわめて現実的な、実行可能な日本の未来を設計している」というセリフには二つの重要な論点を孕んでいる。一つはパオロ・マッツァリーノ氏の主張である、「一億円以上の資産のある老人には年金を支給するな」という意見(「http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson19.html」)の中の「年金制度改革は勝ち組老人から」という項目、そしてそこにも書かれているが、「税金で年金をやる」ことの意味についてはkechack氏の解説(「2007-06-09」)が参考になる。