『昭和の鉄道模型をつくる』と森永卓郎氏

森永卓郎氏が講談社の『昭和の鉄道模型をつくる』を定期購読しているらしい(「http://doraku.asahi.com/info/doraku/money_070827.html」)。さすがだ。
森永氏は『昭和の鉄道模型をつくる』について次のように述べている。

もう一つ、講談社が『昭和の「鉄道模型」をつくる』という週刊雑誌を創刊しました。毎週、雑誌に同梱されたパーツを組み上げていくと、50週で45 センチ×60センチにレイアウトされた昭和の街並みのジオラマと、そのなかを走るNゲージ鉄道模型が完成するという仕掛けです。街並みを昭和にしたのは、明らかに中高年男性を狙いにしたものです。鉄道模型ファンが、全国に約10万人と言われるなか、この雑誌の創刊号は13万部も売れました。鉄道模型ファンの裾野が大きく広がったのです。
スタートは、こんなものからでよいのだと思います。ちなみに、私は鉄道模型を、ほとんどやってこなかったので、いまこのジオラマを作り始めています。

確かにすそ野は大きく広がっただろう。というのは『昭和の鉄道模型をつくる』はディープなファンからの評判は必ずしもいいとは言えないからだ。購入している13万人は多くは初心者だろう。あるいは私みたいなヘタレな模型ファンか。工作力がなくてもレイアウトをつくれる、というのは大きい。
ただ限定も多く、初心者にいきなり制約の多いレイアウトを渡す、というのはどうか、という意見もある。半径140mmのカーブなので、小型車しか入線できない。私は半径140mmのミニカーブレールでレイアウトをつくったので、実際テストしてみると、以外と厳しいことがわかる。KATOの近鉄ビスタカー10100系は無理。マイクロエースビスタカー1世10000系も無理。マイクロエースのED72も無理。しかし意外なことにマイクロエースのC60は入線可能。KATOのC62も問題なし。マイクロのC56もスムーズ。トミックスのキハ56やキハ55、キハ22もいけた。ただし建築限界の関係で、『昭和の鉄道模型をつくる』では20m級の車両は入線は厳しいだろう。さらにホームは15m級の電車2両が限度で、走れる車両はかなり限定される。トミーテックの鉄コレや、モデモの名鉄小型車、京福が似合うだろう。大型車は難しい、ということである。
また「講談社発刊『昭和の鉄道模型をつくる』が売れている理由」(「http://d.hatena.ne.jp/images/admin/markup_url.gif」)。の中では森永氏は大きさについて次のようにいう。

その大きさが幅60cm、奥行き45cmということで、ジオラマとしては革命的に小さいんです。団塊世代のお父さんに与えられているスペースというのはそんなものなのかもしれません。

一般に人気のある大型車両を走らせられればいい、というのは確かに理想ではある。しかし現実には大型車を走らせ得る大きなレイアウトを持てる、というのはかなり恵まれた条件である。このような条件を持てる人は限られた「セレブ」である。
もう一つ、大きなレイアウトは整備に手間がかかる。線路はまめに磨かないとすぐに通電性が悪くなり、走行できなくなる。埃の問題もある。リビングの片隅に置くのには60cm×45cmというのは限界だろう。自分の趣味に没頭できる恵まれた人々とは違い、世間の「お父さん」にはこれがちょうどぴったりなのだろう。逆に月6000円というお金は、何とか「お父さん」の小遣いで賄える金額でもある。その意味で『昭和の鉄道模型をつくる』というのはぴったりフィットしている。
さらに言えば、年配で、初心者というのが鉄コレにはまるとは思えない、という意見も散見されるが、実際には鉄コレは以外と年配の層に受け入れられている、というデータもあるので、一概には言えないだろう。少なくとも『昭和の鉄道模型をつくる』がターゲットにしている層は、JRの最新型車両には動かないだろう。SLやキハを動かしたい、あるいは近鉄ビスタカーを動かしたい、という要求はあるかもしれないが、それを走らせられるレイアウトは置き場所がない。私ももし『昭和の鉄道模型をつくる』で出来るレイアウトがビスタカーを走らせられる規模のものであれば、間違いなく購入しなかった。置き場所がなければ、何にもならない。