極論

第8回行政減量・効率化有識者会議におけるある委員の発言が今、ネットで少しかどうかわからないが、話題になっている(「ある火山学者のひとりごと」の15472の発言。)。

○委員 発想の問題というか、7ページなどを見ても、これだけ危ないところによく日本人は住んでいるなと、気象庁は大変だと思うんですが、気象庁が持っているデータというのは、これだけ危ない国においては、ものすごい貴重品であって、重要なデータだと思うんです。
私などが思うのは、それをただで使わせているというのは、物すごいもったいない感じがします。これだけの危ないところに住んでいたら、有用な情報にある程度対価を払うということは当然の話でありまして、そういう方向でやっていた方が、国際的には条約がありますから、外との接触部分はそうもいかないのですけれども、中ではそれをやった方が、気象庁が今、せっかくの大きな飛躍をする機会を与えられているのに、自ら拒否しているような感じがします。今まで役所だからこういうことでしたという、狭まってくる発想で、もうそういうのをやめて、人のため、人類のため、どうやって日本に安全をつくるのか、そのためにはどうしたらいいかと考えると、むしろ独法になってある程度自由にやった方が、収入も上がるし、よくなるようなイメージを受けるんですけれども、そのようなものではないですか。
気象庁 そういう考え方もあるのかもしれませんが、実は気象庁の情報で一番高く売れるのは、防災気象情報、例えば台風の進路、豪雨の状況、それと先ほど緊急地震速報の話をいたしましたけれども、10秒でも20秒でも前に地震がきますよという防災情報は、大変価値の高い情報だと思っておりますけれども、これについては私ども、広く国民一般に等しく提供すべきものであろうとも思っております
先ほど、委員からお話がありましたように、気象の観測データとか、または予測データもそうなんですが、世界各国と無料でやりとりをしておりますので、日本で有料化しても、日本として、例えばアメリカとか台湾とか中国には無料で出さなければいけない。無料で出せば、今はインターネットですぐ情報は戻ってきてしまうことがあるのではないかと、実際上はなかなか難しいのかなと思います。
○委員 今、やっていないのですから、できない理由は幾らでもある。
 そちらの方向で考えた方が得ではないかということです。

これは今から二年前の2006年4月12日、総理官邸4階大会議室で行われた「第8回行政原料効率化有識者会議」の議事要録44ページから45ページに収載されたある委員と気象庁とのやり取りである。出席委員は「飯田亮(座長)、逢見直人、翁百合、樫谷隆夫、菊池哲郎、富田俊基、船田宗男、宮脇淳、森貞述の各委員」ということらしい。
しかしなかなか極論である。気象庁が持っている安否に関わるデータを「ただで使わせているというのは、物すごいもったいない感じ」、「有用な情報にある程度対価を払うということは当然の話」ということか。人間の生存などに関わる問題は「得ではないか」ということではないように思うが。
しかし「これだけの危ないところに住んでいたら、有用な情報にある程度対価を払うということは当然の話」「そちらの方向で考えた方が得」と言っている人が同じ口で「人のため、人類のため、どうやって日本に安全をつくるのか、そのためにはどうしたらいいか」というのは「ちょっと何言ってんだか分かんないですね」という感じだ。