橋下徹氏大阪府知事当選

圧勝なので何も言うことはない。共産党が非自民票を割った、とか、民主党の候補者選びがどうだったか、とか以前の問題。熊谷候補と梅田候補と高橋候補と杉浦候補を合わせても橋下候補の得票に30万票近く及ばない。橋下候補の票が183万2857票、熊谷候補が99万9082票。ダブルスコアに近い。他の表を全部合わせても155万9960票。橋下氏圧勝の背景については次の記事が参考になった。「(既得権益への反発と大衆の「本音」~大阪府知事選挙の結果 : 世界の片隅でニュースを読む)」
かいつまんで紹介すると次のようになる。
「第1の要因は、今回の選挙戦の構図が結果として「既得権益」対「非既得権益」の形になったこと」
これについて「民主党推薦の熊谷貞俊氏は既得権益をもつ(と一般の人々が敵視している)連合大阪や部落解放同盟の組織的支援を受け、さらに財界の一部も好意的であったために、橋下氏は利権から疎外されている人々にとって「不当に特権をもつ勢力」と闘うヒーローになりえた」と述べているが、多分に今でも正しい。参院選挙でネオリベが打撃を受けた、という分析も正しいだろうが、同時に「既得権益への不満が噴出した場合には、「コイズミ劇場」のような事態が起こりうることを実証した」という分析は非常に示唆に富む。
「第2の要因は、橋下氏の過去の横暴な発言の数々が実は大衆の「本音」だったこと」
これについての「畏まった建前論に飽き飽きしている大衆にとって、橋下氏は「同じ目線」で「自分の言葉」を語る「同類」」というのは、まさに今言説的構築物が敵視されるネット言説に見事にフィットしている。
「第3の要因は、選挙運動の商業化」
これについてはこれだけでは分かりづらいが「今回の大阪府知事選で橋下陣営を取り仕切ったのは自民党でも創価学会でもなく、橋下氏の所属芸能プロダクションだった。彼らは選挙運動の素人であるが故の基本的なミスもあったが、メディアの使い方と人心掌握には長けていた」と言われるとなるほど、とも思う。選挙運動の商業化は小泉郵政選挙で決定的な動きとなったが、これからも加速していくであろう。
「第4の、そして最も決定的な要因は、失礼ながら対立候補筆頭の熊谷貞俊氏に知事候補としての魅力がほとんどなかったこと」
これは私も全くそのように思うのだ。「弁舌巧みな橋下氏と比べるとお世辞にも雄弁とは言えず、何より「大阪大学教授」という肩書と隠せないインテリ臭が大衆への浸透を妨げた。前述した「“左”を忌避するポピュリズム」は「“知”を忌避するポピュリズム」でもあり、民主党は現在の世論の実情を完全に見誤ったとしか言いようがない」という分析がなされているが、的を射た意見だと思う。
とりあえず今のところはこれくらいで。要は「大阪府民の民度が」とかそういう思考停止に陥ってはいけない、と思うのだ。